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新種の貝化石2種発見 浦幌の活平層

浦幌・活平層から発見された「ウラホロワダツミフネガイ」(写真は天野和孝上越教育大副学長提供)

 【浦幌】上越教育大(新潟県上越市)の天野和孝副学長らの研究グループが、町内の活平周辺の地層から約6000万年前(暁新世)に生息した赤貝の一種「ワダツミフネガイ」類の新種の化石を発見した。同属の化石では世界最古で、古代の貝類の変遷や生態を解明する上で貴重な発見となる。同じく活平周辺の同年代の地層から、エゾバイ科に入るとみられる国内では近縁種のない巻き貝の新種も発見した。

 ワダツミフネガイの研究グループは天野副学長、金沢大のロバート・ジェンキンズ助教、産業技術総合研究所の西田梢氏。発見した新種を「ウラホロワダツミフネガイ」と命名し、6月28日に福岡市で開かれた日本古生物学会で発表した。同学会の学会誌に論文を投稿中。

 現生するワダツミフネガイ類は、世界各地に分布する最大体長15ミリの小型の二枚貝。深さ50~5000メートルの海底で木片や貝殻などに付着し、プランクトンを食べて生活している。

 今回の発見は、地層から採取した石灰岩の塊を調べる中で昨年夏、最大で体長7・5ミリの新種の化石を見つけ、確認作業を続けてきた。これまでは、ニュージーランドで発見された2000万~2300万年前に生息した種の化石が最も古いとされ、一気に3倍近い太古の年代にさかのぼることになった。

 5700万年前には地球規模の温暖化が起き、深海の酸素が減少し、深海性微生物(有孔虫)の多くが絶滅したことが知られている。天野副学長は「5700万年前の温暖化で、深海性の貝類がどんな影響を受けたのか全く分かっていないが、少なくともワダツミフネガイ類はこの温暖化事件を生き延びたことが分かった」と話している。

 

浦幌・活平層から発見された「ウラホロミガキボラ」(写真は上越教育大天野和孝副学長提供)

一方、巻き貝はバイガイやツブガイなどを含むエゾバイ科の新属・新種とみられる。体長43ミリ、最後の1巻きが大きく、貝の表面に光沢を持つ。属・種名を「ウラホロミガキボラ」と命名した。北米西岸からカムチャッカ、南極に生息した巻貝と似ており、天野副学長は米国の研究者と論文を共同執筆し、米国の学会誌へ投稿している。(平野明)

 活平層(浦幌) 恐竜が絶滅した中生代白亜紀末期に続く、新生代最初の暁新世(6500万~5400万年前)の地層。暁新世の地層は他の年代の地層に比べ世界的にも少なく、国内でまとまった化石が出るのは活平層が唯一とされる。天野副学長らが昨年8月に新種の化石として発表した「ウラホロモミジソデボラ」も、活平層から採取した。

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