大作60点一堂に、画家森健二さん遺作展 出身の清水で
【清水】昨年4月27日に80歳で亡くなった町出身の画家森健二さんの100号以上の大作60点を一挙公開する遺作展(町教委など主催)が5月10~15日、町内3会場で開かれる。帯広市民文化ホール・大ホールの緞帳(どんちょう)の原画制作などで知られ、「光年の導(しるべ)」と題し宇宙や星空を描き続けた森さんの、かつてないスケールの展覧会となる。
森さんは1932年生まれ。清水高校卒。札幌でデザイナーの仕事をしていたが、63年に自宅が火災に遭った。焼け跡に寝転んだとき、見上げた満天の星空に魅せられ、人生の「出直し」を誓って宇宙を描く挑戦を始めた。
66年に帯広へ転居。作品はモダンアート展や道展で高い評価を受け、パリ、ニューヨークなどで個展を開いた。市民文化ホールの緞帳(88年)、市アイスアリーナホワイエの陶壁画デザイン(86年)など公共施設にも作品を残している。
森さんは2007年に千葉県松戸市に転居した際、町に57点の作品を寄託。作品は、きたくま文化蔵(町熊牛)に収蔵されていた。「亡くなられたことを受けて、ご遺族に返却する話をしたところ、生前の森さん自身の希望もあって」(町教委社会教育課)、昨年12月、町が寄贈を受けた。
今回は「森健二~光年の導~遺作展」と題し、この57点に、新たに遺族から寄贈を受けた120号3枚組作品(05年)など3点を合わせて並べる。会場は町文化センター、御影公民館、ハーモニープラザ。これまで町内で一部が公開されたことはあったが、一堂に展示するのは初めて。
5月10日には東京から森さんの長女の淑美さんらが駆けつけ、テープカットに参加する予定。遺作展は入場無料。点描で宇宙を表現した壮大な作品を通じ、十勝の美術界に大きな足跡を残した森さんの画業をたたえる機会となる。(古川雄介)