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柴田シェフの「ロアジール」 帯広の仏料理 先頭走り40年

看板商品のパイのスープと柴田さん(塩原真撮影)

 フランス料理店「ロアジール」(帯広市西11南18)が5月6日、40周年の節目を迎える。帯広のフレンチの先駆け的な存在で、今なお確かな味を求めてファンが足しげく通っている。店の2階に住むオーナーシェフの柴田和豊さん(71)は「店と体が一体化したような感じがする。年齢とともに料理の味付けもまろやかになりバランスが取れてきた」と語る。心身と共に料理も日々進化を続けている。

 柴田さんは帯広生まれ、川西小、川西中、帯広三条高卒。東京でサラリーマンをしていたが、ネクタイを結んだ首のあたりが満員電車の中で苦しくなるなど体に異変が表れた。「組織の中で働くのが苦手だったんじゃないかな。今で言うパニック障害のような症状だった」と振り返る。

帯広駅前で創業
 進路に悩む中、中学時代から家で自炊し、東京でも友人に料理を振る舞っていたことを思い出し、26歳から料理の道に。ホテルオークラ(東京)で腕を振るったフレンチシェフが営む都内のレストランで修業、ここで学んだレシピは料理のイラスト付きでノートにまとめ続けた。1980年に帰郷、翌81年5月にJR帯広駅近くで店を構えた。

帯広緑ケ丘公園北側にある現在の「ロアジール」

 当時は十勝にフランス料理店がほとんどなく、地元の食通や女性の間で人気に。評判を聞きつけた多くの経済人が来店し、「グルメの会」も開いた。藤丸で開催されたフランスフェアでは講師を務めている。3回の移転を経て現在地で営業を続ける。

 この間、東京で学んだ調理法をさらに追究し、アレンジを加え、最高の味を求めて勉強。結果的に「ヌーベルキュイジーヌ」と言われる素材を生かした料理の高みに行き着いた。伝統的なフランス料理に見られる、ソースを使ったこってりした味わいとは一線を画す。

 シーフードサラダや洋ナシのタルトが自信のひと品で、看板商品はパイのスープ。ふっくら膨らんだパイ生地をスプーンで割って食べるが、絶品である。ランチは1200円、ディナーは3500円のコースから用意している。

 柴田さんは「お客さまに育てられてきて今がある。40年かかって料理の完成度が高まった。80歳までは頑張りたい」と語り、意欲を新たにしている。

 午前11時~午後3時、午後5時~同9時半。不定休。来店前に必ず予約を。問い合わせは同店(0155・22・3059)へ。(本田龍之介、能勢雄太郎)

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