アスパラも、コーンも、MAフィルムでフレッシュ流通
道総研 花・野菜技術センター 研究部 生産環境グループ
ホクレン農業協同組合連合会 農業総合研究所
1.成果の概要
MA(Modified Atmosphere、雰囲気調整)フィルムは、青果物周辺を高二酸化炭素濃度、低酸素濃度に保つ包装資材で、品質や鮮度を高く維持する効果があります。これまでに、ブロッコリでの研究成果を基に、一部JAで導入例がありました。今回は、グリーンアスパラガスとスイートコーンでその効果を検証しました。
(1)アスパラガスでは、MAフィルムの使用で、保冷剤入り発泡箱(従来)より包材費がダウンできます。
(2)スイートコーンでは、MAフィルムの使用で、段ボール箱包装(従来)より品質がアップします。
2.成果内容
(1)アスパラの蔵置試験ではMAフィルムおよび発泡箱を用い13℃以上で保管した場合、異臭の発生、食用不適となるような異味の発生など品質上の問題がありましたが、10℃以下の保管ではそのような問題は発生しませんでした。10℃保管ではMAフィルム区は発泡箱区と同等であり、段ボール箱区と比べると外観の異常は少ないものでした。また、輸送実証試験においてMAフィルム区は概ね発泡箱区と同程度の品質で、段ボール箱区より外観異常の発生が少ないものでした。しかし、流通中の温度が高めに推移し長時間にわたる輸送の場合、臭気の発生が見られることがありました。以上よりMAフィルムは発泡箱と同等の品質でアスパラを流通できると考えられました。包材費は発泡箱の約335円/ 箱に対しMAフィルム使用で約300円/ 箱と、1割程度削減できると試算されました。
(2 )コーンの蔵置試験では、MAフィルムを用いた15℃以上の保管で異臭の発生が認められました。一方、10℃保管では14日後でも異臭の発生は見られませんでした。段ボール区でえくぼ粒、変色粒、ハスクの枯れやカビの発生など、外観品質が低下する条件でもMAフィルム区では発生が僅かでした。食味はMAフィルム区が同等か優る傾向にありました。輸送実証試験においてMAフィルム区は食味が概ね高く評価され、流通業者からハスクのみずみずしさ等の外観が優ると評価されました。以上よりMAフィルムは従来の段ボール箱より外観異常の発生を抑えつつ、同程度以上の食味でコーンを流通できると考えられました。包材費はフィルム代が約200円/ 箱程度増加します。
(3)実証試験では高温でも異臭の発生がない事例もありましたが、温度管理された蔵置試験でアスパラ、コーンとも10℃を超える温度帯で異臭の発生が確認されたことから、MAフィルムを使用した流通でも10℃以下の低温保管・流通が望まれます。
3.留意点
(1)MAフィルムは品目、内容量によって設計が異なります。必ず目的に合ったフィルムを使用して下さい。
(2)MAフィルムは密封して使って下さい。
(3)10℃以上の高温は品質に悪影響があります。10℃以下の低温管理を心がけて下さい。
(4)予冷は従来と同じように、収穫後速やかに、十分に行って下さい。
(5)本成果は全道の産地で導入可能です。フィルムの購入についてはホクレン各支所にご相談下さい。
(成績名:MA包装フィルムを用いたグリーンアスパラガスおよびスイートコーンの流通技術)
本技術内容についての問い合わせ先
道総研花・野菜技術センター
電話(0125)28-2800
E-mail:hanayasai-agri@hro.or.jp