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2019年に特に注意を要する病害虫

道総研 中央農業試験場 病虫部 予察診断グループ

1.成果の概要
 北海道病害虫防除所、道総研各農業試験場、および道農政部技術普及課等で実施した病害虫発生予察事業ならびに試験研究で得られた結果から、2019年に特に注意すべき病害虫について報告します。

2.成果内容
 2018年は、6月中旬から7月上旬の多雨により、小麦の赤かび病、たまねぎの軟腐病が多発しました。一方、この時期の多雨により、ばれいしょの疫病やてんさいの褐斑病でも多発が懸念されましたが、7月中旬以降の少雨傾向によって少発生にとどまりました。りんごの黒星病は、上記の多雨に加え、8月にも好適条件が見られたことから多発しました。
 害虫は、多雨傾向によって全般的に加害活動や産卵等が少なくなったことにより、多くが少発生でした。
 道内の主要病害虫の内、2018年に多発となったものを表1にまとめました。

表1 2018年に多発・やや多発した主要病害虫



3.2019年に特に注意を要する病害虫
1)りんごの黒星病
  黒星病は、果実に病斑を形成することで著しい収量減の要因となる病害です。
2)りんごの腐らん病
  腐らん病は、主幹や主枝、枝梢部に胴枯れ症状、枝枯れ症状を引き起こす病害です。

りんごの黒星病(山名原図)

りんごの腐らん病(西脇原図)



4.2018年に新たに発生を認めた病害虫
 2018年に道内で新たに発生を認めた病害虫は、12(病害9、害虫3)でした。その一部を抜粋して紹介します。テンサイ黄化病(旧病害名:テンサイ西部萎黄病)を除くと、いずれも十勝管内では発生未確認の病害虫です。
1)たまねぎの黒腐菌核病(新発生)
 たまねぎの鱗茎に0.5mm 程度の菌核が形成される病害で、生育不良や立ち枯れ症状を引き起こします。
2)ねぎの根腐病(新発生)
 ねぎの根に軟化や腐敗を引き起こす病害で、生育遅延を引き起こします。
3)にんじんの葉腐病(新症・国内新発生)
 にんじんに葉腐れを引き起こす病害で、発病初期には葉柄と葉身が褐変し、進展すると地上部全体が枯死します。

たまねぎの黒腐菌核病(池谷原図)

ねぎの根腐病(三澤原図)

にんじんの葉腐病(森原図)



4)小麦のなまぐさ黒穂病(病原の追加)
 近年、十勝を除く道内で広く発生しているなまぐさ黒穂病菌を同定した結果、小麦ではこれまで報告のなかった Tilletia controversa であることがわかりました。本菌は土壌伝染することが確認されています。
5)てんさいの黄化病(病名の変更・病原の変更)
 近年、道内で発生していたテンサイ西部萎黄病の病原ウイルスについてホクレン農総研が詳細を調べた結果、従来報告されていたウイルスとは異なるものであることがわかりました。このため、これまでテンサイ西部萎黄病とされていた病害の名称は「テンサイ黄化病」、病原ウイルス名は「Beet leaf yellowing virus(ビート黄葉ウイルス)」と変更されました。

【補足】「特に注意を要する病害虫」および「新発生病害虫」の詳細な情報については、北海道病害虫防除所のホームページに掲載していますので、そちらもご覧ください。

(成績名:平成30年度の発生にかんがみ注意すべき病害虫))


詳しい内容については、次にお問い合わせ下さい。
道総研十勝農業試験場
電話(0155)62-2431 E-mail:tokachi-agri@hro.or.jp

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