捨て犬きょうだい再会 幕別で保護、里親見つかった5匹
【幕別】昨年秋、5匹のきょうだいの捨て犬が町役場に保護され、帯広や町内の5家族に引き取られて約半年。9カ月まで成長した愛犬たちを連れた飼い主が「きょうだい会」と銘打って初めて集まり、公園で交流を深めた。最初は互いに警戒していた犬たちも元気に走り回るなど、じゃれ合い、飼い主たちをほほ笑ませた。
◇ ◇
きょうだい会を企画したのは、そのときの1匹を引き取り、「レオ」(雄)と名付けて育てる町内の主婦丸山清美さん(50)。知り合いで、同じくそのときに犬(「パト」=雄)を引き取った町内の友人、宮澤恵子さん(60)に提案したところ賛同を得て、他の飼い主にも呼び掛けた。
そもそも犬たちは、昨年9月下旬、町内の事業所の敷地内に段ボールに入って置かれているのを事業所関係者が発見し、町に届け出たという。
十勝総合振興局によると、法的には保護の告示期間は4日間(その後の譲渡にかける期間は犬によってまちまち)。殺処分の可能性が高まる中、事業所関係者から話を耳にしたり、町役場で犬を偶然見かけた人、さらにはその親族らが里親として次々と保護を申し出た。
最後の1匹(「ココ」=雌)を町内の会社員吉本順一さん(65)が引き取ったのは、保護期限が切れる当日だったという。
町役場で偶然知ったという丸山さんは「既に他にも犬を飼っていたため、引き取る頭数に限界があった。残った犬たちのことを気にしていただけに、(引き取られたのを知って)ほっとした」と振り返る。
きょうだい会は26日に町内のスマイルパークで開かれ、飼い主が集合。「ラッキー」(雄)を引き取った丸山さんの姉、鈴木あや子さん(53)=帯広=や、夫の職場の関係者から伝え聞き、「はな」(雌)と名付けて引き取った工藤文重さん(46)らも駆けつけ、じゃれ合う犬たちの姿に笑顔を見せた。
同局環境生活課によると、捨てられるなどして同局に保護された犬は2014年度で135匹。うち処分されたのは27匹で、12年度(76匹)の約3分の1に減少している。
丸山さんは「殺処分される犬がゼロではなく、安易に捨てられるケースが後を絶たない。不安におびえた犬たちの表情も忘れられない」とし、「交流を通じてどの家族も愛情たっぷりに育てていることが分かり、うれしくなった。人間の身勝手で尊い命を粗末にせず、最後まで飼ってほしい」と願っている。(佐藤いづみ)