クマ警戒出動、帯広で40回超 半数は誤情報「冷静な行動を」
帯広市内で今年度、クマ出没に関する情報が止まらない。全国的には悲惨な死亡事案も相次いでおり、市民の関心も高まっている。担当する市農村振興課や猟友会らによる現場出動はすでに40回を超え、多くが今月に入ってから。ただ、半数ほどは誤情報による“空振り”という。同課は「情報提供は大変ありがたい」とした上で、「クマの痕跡は特徴がある。冷静な行動を」と呼び掛けている。
(佐藤いづみ)
市の現在のヒグマ対応マニュアルでは、市内でクマの生体目撃やふんなどの痕跡に関する情報が寄せられた場合、原則現場に出動する。市職員と猟友会が各2人以上と警察官の計5~6人で構成する「市鳥獣被害対策実施隊」を組んで周辺を調査する。
1件半日かかる
市によると、現場滞在は平均1時間ほど、長い場合は数時間に及ぶ。場所が岩内や拓成など市街地から離れていると、移動を含めると1件で半日かかり切りになる。今月、大正町の市街地で目撃情報があった際は、マニュアルに基づき、特別パトロールも3日間実施した。
同課内の担当は現在3人で、いずれも他業務と兼務。同課は有害鳥獣捕獲許可の他、農業・農村、林業の振興や関連施設管理、市有林管理なども担う。今年度は1日に3回出動したケースもあり、課内で人を調整し何とか乗り切ったという。
22日時点で同隊の出動件数は42件。うち、クマの存在が疑われ、市民に情報発信した案件は23件。昨年度の発信件数は7件、過去5年では2020年度の19件が多かったが、今年度はすでにそれを上回っている。
出動しても情報発信に至らなかった19件はクマ以外の痕跡が確認され、いわゆる空振りに終わった。同課は「中には犬のふんやアライグマの足跡など、目視で明らかにクマと大きさが違うケースも結構あった」と打ち明ける。
アライグマ?
同課によると、足跡の場合、シカやアライグマでも土が広がって大きく残るケースもあるが、クマとは歩幅が明らかに違う。ふんはA4サイズ(21センチ×29・7センチ)ほどの大きさがある。
クマ出没の可能性が確認された箇所には職員手製の注意喚起看板を設置しているが、今季はすでに例年の出没スポットを含め約50枚を掲示し、2回増刷した。道は餌不足などを理由に、今月末までだった「秋のヒグマ注意特別期間」を11月末まで延長した。市は法改正で始まった緊急銃猟への対応も含め、来年度に向け発信基準などマニュアルの見直しも進める考え。










