広尾の惣田種苗が内閣総理大臣賞 農林水産祭 トドマツ、カラマツなど生産
【広尾】農林水産業の振興に貢献した個人・団体をたたえる今年度農林水産祭(農林水産省など主催)の林産部門で、惣田種苗園(広尾町野塚11線)を経営する惣田政宏さん(57)が、内閣総理大臣賞を受賞した。「品質本位の苗木作りが評価されてうれしい」と話している。(能勢雄太郎)
惣田さんは日高管内えりも町で創業した、造林用の苗木会社の3代目。会社は1994年に広尾町内に事務所を開設(2022年に本社を移転)、惣田さんは21年から社長を務めている。
会社周辺の70ヘクタールの畑でトドマツ、カラマツの裸苗(露地)を主体に年間160万本生産し、道内各地の森林組合や行政機関に供給。優良苗木の安定供給を経営理念とし、きめ細かな育苗で、得苗率(100万本当たりの優良苗木の割合)は7割を超えている。
近年は人手不足に対応するためコンテナ苗(ポット栽培)を取り入れ、業務の効率化や後進の育成に注力。地元の漁業者とその家族を積極的に雇用し、「山と海」の連携による森林づくりに取り組んでいる。
惣田さんは「土づくりを重視し、忠実に基本を守ってきた。一つの作業でも手を抜くと、品質を守ることはできない」と振り返る。
苗木業界は家族経営が主体で、高齢化の波にさらされている。「同業者が減る中、各地の山づくりを支えるため経営を維持したい。顧客からの評価が何よりの励み」と話している。
道内で受賞するのは惣田さんと、水産部門・天皇杯受賞の中辻清貴さん(宗谷管内利尻町)の2人のみ。11月23日に都内で開かれる同祭式典で表彰される。