十勝出身漫画家ひの宙子さん、初の長編連載中
十勝出身の漫画家ひの宙子(ひろこ)さん=東京=の初の長編「最果てのセレナード」が、月刊アフタヌーン(講談社)で昨年11月から連載されている。十勝を想起させる北海道の田舎町を舞台としたサスペンス。4月には単行本第1巻も発行され、注目が高まっている。(丹羽恭太)
ひのさんは高校卒業まで十勝で過ごし、本州の大学在学中にグラフィックデザインの道へ。10年ほど前からフリーのデザイナーとして活動する傍ら、こだわりを持つ紙媒体での表現の場として漫画を描き始めた。
自主制作漫画の展示即売会「コミティア」に出品したところ編集者の目に留まり、2018年にフィールヤング誌(祥伝社)で短編作品の連載を開始。19年にそれをまとめた「グッド・バイ・プロミネンス」を発刊した。短編作品に早くから注目していたアフタヌーン編集部の安藤陽太朗さんが声を掛け、同誌での連載につながった。本名や写真は非公表にしている。
「最果てのセレナード」は田舎町でピアノ教室の家に暮らす中学生の少女と、その教室に通うことになった転校生の少女を中心に展開する、母殺しのサスペンス。随所に十勝を連想させる風景なども登場する。
ひのさんは今後の執筆のための取材で、5月29~31日に来勝。十勝毎日新聞社も訪れ、作品に懸ける思いを語った。初の長編に自身、物語の展開は「先が見えない」が、「予想しない方へ行くことを楽しめるようになった」という。「人間関係の多面性を一つの視点に当てはめずに描きたい」と力を込めた。同行した安藤さんは「ひのさんの作品は本当に面白く、すごい漫画家だと思っている。まだ知らない人も多いが、早くいろいろな人に見つけてもらえれば」と話した。