感謝込め「のど自慢」 市内の片桐淳志さん あすチャンピオン大会
昨年9月に帯広で開かれた「NHKのど自慢」で優勝した市内の会社員片桐淳志さん(35)が、25日に東京・NHKホールで開かれる「チャンピオン大会」に出場する。亡き父が好きだったゴスペラーズの代表曲「永遠に」でグランドチャンピオンを狙う。
同大会は、各地で開かれた大会の優勝者41組から選出された13組が舞台に立ち、グランドチャンピオンと優秀賞の各1組を決定する。十勝からの同大会出場は2017年以来。
片桐さんは大樹小、大樹中、白樺学園高、札幌大卒。中学1年のときに糖尿病で亡くなった父が持っていたのがゴスペラーズのCDで、5人の歌声に片桐さんも心を動かされた。
毎日のように風呂場で歌い、小学から続けてきた野球の練習の送り迎えの車内でも流すうちに母もファンに。中学3年になると、母と2人でファンクラブにも入会した。
学生時代は2年間、アカペラグループ「じゃーんずΩ」(現JARNZΩ)のメンバーとして東京や札幌で活動。アカペラグループが歌声を競うテレビ番組の人気企画「ハモネプリーグ」での優勝経験もある。授業との両立の難しさやライブのプレッシャー、メンバーとの方向性の違いで脱退したが、耳の強さをそこで得た。
昨年9月の「のど自慢in帯広」にゴスペラーズのメンバーがゲスト出演することを知り、「来るなら受けてみるか」と応募。審査を通過し、神様とあがめるアーティストの前で歌声を披露した。「本人の前で歌わせてもらって、夢がかなった」。手応えがない中での優勝に喜びもひとしおだった。
日本一を決める本番に向けて、自宅でカラオケアプリを使って1日2時間ほど練習を重ねてきた。東京へは妻や親戚、会社関係者が駆け付ける予定。「グランドチャンピオンや賞は全く考えていない。今まで会った人、ここまで携わってきた人に感謝の気持ちを込めて歌いたい」
音楽のおかげで出会いがあり、関わり方によっては苦しい経験もした。「牙をむくし、優しくもしてくれる不思議な存在。ぶれずに、ドンと立っていて変わらない」。そんな音楽を、大柄で、怒られた記憶も褒められた記憶も多い父の存在に重ね、声を響かせる。(高井翔太)
NHK総合で生放送
「NHKのど自慢チャンピオン大会2023」は、25日午後7時半からNHK総合で生放送。