北斗に「先進リハビリテーション推進室」開設 トヨタ製歩行支援ロボットも
社会医療法人北斗(鎌田一理事長)は、十勝リハビリテーションセンター(白坂智英院長)に「先進リハビリテーション推進室(ARO)」を開設した。歩行(下肢)や、手指・上肢の障害に対するリハビリに対応したロボットを取りそろえたのが特長。同法人によると、各リハビリ対応のロボットが集まった施設は道内では珍しく、「地方でも最先端のリハビリを提供したい」としている。(松岡秀宜)
高齢化の進展に伴い、脳血管の病気や大腿(だいたい)骨骨折など、運動機能に後遺症が残る病気・けがなども増加している。こうした病気やけがの治療(急性期医療)を終えた後には、在宅復帰に向けたリハビリの重要性も増す。北斗では2013年11月、道内最大規模の回復期リハビリテーション病院となる同センターを設立した。
AROは「患者に合わせた(個人差に配慮して最適な医療を提供する)テーラーメイドのリハビリが必要」(白坂院長)との考えで開設。約300平方メートルのスペースに、歩行(下肢)のほか、手指・上肢などの障害に対する訓練支援ロボット、電気刺激・磁気刺激などの機器を取りそろえ、集約した。
歩行訓練支援ロボットや上肢・下肢の機能訓練電気刺激装置は、10月に新たに導入した。「歩行訓練支援ロボット」はトヨタ自動車製で、運動学習理論に基づき、患者のモチベーション維持を支援するゲーム機能や、異常歩行の改善に役立つ設定変更情報などを、リアルタイムで示す機能を搭載している。「スタッフの負担軽減と効率的な歩行練習ができ、歩く喜びも感じてもらえる」(白坂院長)とする。
また、今年度からは、患者の予後予測のためにAI(人工知能)を導入した。患者や家族に伝える「予後予測」について、経験則ではなく、精度が高い内容の伝達も可能。白坂院長(53)は「在宅復帰後の各サービス導入や家屋改修、装具の作成など、円滑な退院準備が可能となる」と話す。
リハビリが必要となる患者の障害は、手指を含む上肢や下肢、のみ込む機能など多岐にわたる。AROは11月から運用が始まったが、白坂院長は「機器を集約したスペースでのテーラーメイドのリハビリで、最大限の機能回復の実現を目指す」とし、「十勝の地から、日本最先端のリハビリテーション医療を提供できれば」と話す。
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