元演歌歌手の中村仁美(旧芸名・戸川よし乃)さん 音楽健康指導士で新たな一歩
【士幌】体調不良で昨年2月に演歌歌手を引退した中村仁美さん(45)=士幌町出身=が、音楽健康指導士として新たな一歩を踏み出した。8日、十勝管内で初めてレッスンを実施。中村さんは「歌と音楽の力でたくさんの人たちに向けて健やかな未来を実現できる手助けをし、生きがいにつながる活動をしていきたい」と青写真を描いている。
中村さんは、戸川よし乃の芸名で2012年に「すずめは雀(すずめ)」でデビューし、日本クラウン新人賞などを受賞。その後も「冬のすずめ」「宿なしすずめ」「十勝望郷歌」でシングルヒット賞を獲得。哀愁を帯びた歌声で多くの聴衆を魅了してきた。
ここ数年は体調不良で自分と向き合う時間が多くなる中、歌手活動の引退を決意。方向転換として支えてくれた人たちに恩返しをするために、自身の歌でコミュニケーションの糸口のきっかけになればと、音楽健康指導士を志すようになった。自身の経験を踏まえながら、歌と音楽を活用した音楽レクリエーションを展開していきたいという思いが強くなったという。
音楽健康指導士は高齢者の介護支援、生活機能改善を促進する「音楽健康セッション」プログラムの作成、実践を行うことができる。体操、運動、歌唱を付随させることで運動・口腔(こうくう)・認知と日常生活の要となる機能の維持や低下の予防が期待される。
8日はカラオケの「ビッグエコー帯広駅前店」(帯広市西1南10)でレッスン会を行い、中村さんの後援会の会長を務める鈴木洋一さん(士幌)を中心に約20人が参加した。
中村さんは「(歌うことで)注意力や計画力を養い、記憶力が鍛えられる」と述べ、脳の活性化につながると説明。また、演歌歌手として培ってきた知識や経験に基づき、歌がうまくなる秘訣(ひけつ)も伝授した。会場からリクエストもあり、「涙岬」を情感豊かに歌った。
参加した町内の森悦子さんは「久しぶりに元気そうな声が聞けて良かった」と満面の笑み。鈴木会長は「形は変わっても、これからも歌で多くの人の心と体にいい影響を与えてもらいたい」とエールを送った。中村さんは「レッスン会を通じて北海道や十勝の皆さんに元気に過ごしてもらいたい」とほほ笑んだ。
レッスン会に関する問い合わせはEメール(hitomi.0118.65@gmail.com)で。(大健太郎)