「3大学の特色や歴史生かす」 帯広畜産大・長澤学長インタビュー
帯広畜産大学の学長に6年4カ月ぶりに就任した長澤秀行学長(67)が18日、同大で十勝毎日新聞社のインタビューに応じた。全国初となる小樽商科大、北見工業大との国立3大学の経営統合への期待や課題、学生への思いなどを聞いた。(澤村真理子、松田亜弓)
求められる役割 以前より厳しく
-前例の少ない“再登板”となった。
大学に求められる役割は地域貢献や社会(の課題)に対応できる人材の育成、教育の質の保証、ステークホルダー(利害関係者)や国民に説明できるような成果を示すことなど、より厳しくなっている。とかち財団での経験や、文科省の国立大学法人評価委員会委員として各大学の動きを見てきたことがプラスになるのかなと思い、引き受けた。
-この6年で畜大の変化は。
奥田(潔)前学長は研究を中心に進められ、科学研究費補助金の取得率が大きく上がった。研究重視は同じだが、その成果を学生に伝えていかなければならない。学生中心の大学づくり、人材育成により力を入れていきたい。
-大学運営への抱負を。
大学の役割として教育、研究、社会貢献の3本柱とよく言われるが、1本の人材育成という柱をその3本が支えると思っている。大学は人材を育てるところで、学生を受け入れて付加価値を付けて外に出すためには教育、研究、そして地域貢献の心を身に付ける。それが学生中心の大学づくり。
例えば農業経営者でも経営だけではなく、新しい知識や技術を持っていなければいけない。そして常に最新の研究を身に付けていかないと、世の中の変化に対応できなくなってしまう。農業は食料で人のためにもなるけれど、自然への環境負荷に配慮し、地球全体のことを頭に入れながら経営していくという考えも必要。だから教育、研究、社会貢献を一体化して人材育成を行う。大学という高等教育機関の役割はそこにあるのではないか。
-3大学の経営統合について、学生へのPR不足を指摘する声もある。
経営統合の結果、3大学で何ができるのかという具体的な姿を明示できなかった。「牛が好きだから」と畜大に入ってきた学生が、進路を決めるときに全員が酪農ユニットに行くわけではなく、経済系の方に進む学生も一定程度いる。帯広に来たけどもっと工学的な勉強をしたい、という学生には北見への道をきちんとつくってあげる、というように可能性が広がるようにしたい。
可能性広げて統合効果明示
-経営統合による期待は。
ラグビーの「ワン・フォア・オール、オール・フォア・ワン」という言葉は誰かが助けてくれるという意味ではなく、一人ひとりが全力で一丸となり勝利のために向かっていくという精神のこと。3大学も同様で、それぞれの特色や歴史を生かして頑張り、その先に文理融合や異分野融合していく中でより良いものができると思っている。
-学生にメッセージを。
アンテナを伸ばしていろいろな人たちの話を聞いてほしい。学んだ知識と技術で反すうし、正しいことは何かという判断力を付けるためには、いろいろな意見を聞かないといけない。そのチャンスを逃さず積極的に大いに学んでほしい。
<ながさわ・ひでゆき>
旭川市出身。1978年帯広畜産大学畜産学部獣医学科卒。2002年から副学長、08年に全国国立大で当時最年少の53歳で学長に就任、3期8年務めた。16年からとかち財団理事長を務めた。