宮崎地頭鶏の頭のふさふさ研究 帯畜大の大谷さんが優秀発表賞
動物の遺伝について研究成果を発表する「日本動物遺伝育種学会第22回大会」で、帯広畜産大学の大谷暢(みちる)さん(21)=畜産科学課程4年=が第2席の優秀発表賞を受けた。ニワトリの一品種「地頭鶏(ジトッコ)」の頭の毛の遺伝について研究し、成果を伝えた。大谷さんは「成果が認められ、うれしい。先生や友人、先輩から助言をもらい、いい発表ができた」と喜んでいる。
大会は昨年11月にオンラインで行われ、学生を含む若手研究者が発表した。大谷さんは内容やプレゼンテーションが評価され、対象の11人中、学部生ではただ一人、入賞した。
研究テーマは「ジトッコが示す毛冠の表現型とHOXCの構造多型との関連」。ジトッコは宮崎や鹿児島などで飼育されてきた在来種天然記念物で、現在は「みやざき地頭鶏」の親品種にも用いられている。
ジトッコの頭には長い羽根がふさふさと生える「毛冠」という特徴があるが、普通のニワトリと掛け合わせた孫世代のみやざき地頭鶏には、生えていない個体もある。大谷さんは毛の生え方がなぜ違うかを疑問に思い、研究を始めた。
宮崎県畜産試験場との共同研究で202羽の血液から遺伝子を解析したところ、「HOXC10」と呼ばれる遺伝子が影響を与えていることが分かった。海外の研究者の論文でも、ニワトリの毛冠にはHOXC10が関係していることが分かっていたことから、毛冠のある海外のニワトリとジトッコの祖先が共通している可能性がある。
ニワトリの見た目は消費者が購入する際のPRにもなり、みやざき地頭鶏の関係者からは「毛冠があるよう統一できれば」との声もある。今年、企業に就職する大谷さんは「引き継ぐ人がいれば、可能かどうかを研究してもらえたら」と話している。(松田亜弓)