停電 十勝 完全復旧
JR運休続 46時間ぶり
胆振東部地震による道内ほぼ全域の大規模停電は、8日午前1時12分に十勝管内で解消された。電力が約2日ぶりに全面復旧したことを受け、同日、多くの小売店での営業や路線バスの運行が再開。帯広市内の小中学校は10日から授業を始める。日常が戻りつつある一方で、JRの運休や物流停滞による商品不足が続くなど、市民生活への影響は残っている。
北海道電力によると、8日午前1時12分、本別町内の約1000戸に電力が供給され、管内の停電は解消された。8日午前8時現在、道内の停電は99%以上に当たる293万戸で解消された。停電は6日未明、道内295万戸で発生していた。
週明けの平日は電力需要が高まることが予想される。政府が計画停電の検討を促していることから、北電は「計画停電を回避するためにも、節電に協力を」としている。
停電解消を受け、小売店は通常営業に戻りつつあるが、物流は正常化しておらず、生鮮商品など品薄の商品もある。乳製品加工工場では集乳を再開するなど、工場稼働に向け作業を進めている。帯広市など管内15市町村が開設した避難所は、8日午前までに閉鎖した。
一方、停電の影響で負傷者が増えている。十勝総合振興局によると、7日午前11時には7人だったが、8日午前11時時点で17人に増加。このうち2人は重傷で、停電で消えた信号機の影響による交通事故が増えているという。
管内の停電解消を受け8日、多くの交通機関は正常化した。十勝バスは、車両繰りのため運休した1便を除き、路線バスの運行を再開。北海道拓殖バスは全便で通常運行している。帯広-札幌間の都市間高速バス「ポテトライナー」は始発便から運行を再開。とかち帯広空港発着の東京(羽田)線は、日本航空(JAL)、エア・ドゥともに全便運行する。
一方、JRは運休が続く。帯広と札幌を結ぶ特急列車は8日も全便運休。普通列車の釧路-新得間も始発から運転を見合わせ、夜からの再開に向け復旧作業を進めている。
生乳出荷 正常化へ
乳業メーカー工場再開急ぐ
電力が回復したことで、管内に工場を置く乳業メーカーも再開に向けた準備作業を始めている。生乳の受け入れ設備を優先して回復させており、廃棄せざるを得なかった生乳の行き先が、順次確保される見通しだ。
管内では6日明け方からの停電により、自家発電で操業可能だったよつ葉乳業十勝主管工場以外は生乳の受け入れを停止。搾った生乳の行き先がなく、廃棄せざるを得ない状況だった。
雪印メグミルク大樹工場は7日午後11時に電力が回復。8日午前から集乳を再開した。製造ラインの点検復旧作業を続けており、稼働までには時間を要するが、同社は「生乳の受け入れ設備を最優先で稼働させたい」とする。
明治も本別工場は受け入れできる状況になっており、十勝工場は8日午後4時の受け入れ開始に向けて、準備作業を進めている。浦幌乳業は午前9時から受け入れ可能となっている。
よつ葉乳業十勝主管工場も通電したが、全道的な電力不足を受け、引き続き自家発電による操業を続けている。燃料も確保できていることから、当面は自家発電を使う予定だ。
カルビーポテト帯広工場も7日夜に電力が回復。再開に向けて設備の点検をしている。(伊藤亮太、眞尾敦)