ノロウイルスの集団感染終息せず 5月は過去5年で最多の感染者
十勝管内でノロウイルスの流行が終息せず、集団感染が相次いでいる。今年5月は保育所などの集団感染が7件、157人となり、5月としては過去5年で最多となった。帯広保健所は「季節柄、食中毒と間違えやすいが、嘔吐(おうと)や下痢などの症状が出たときは、まずノロウイルスを疑って。人が集まる施設や家庭では、手洗いと消毒を徹底してほしい」と注意を呼び掛けている。
今年5月は管内の保育所で30~40人規模の集団感染が3件も発生したことが特徴。8~11日は園児ら33人、13~25日は園児ら41人、21~31日は園児ら29人が嘔吐や下痢などの症状に見舞われ、有症者からノロウイルスを確認した。
ノロウイルスは二枚貝などに含まれ、強い感染力を持つ。感染者が使用した後の便器や手指などを介したり、便や吐しゃ物に含まれるウイルスが室内のちりに付着し、空気感染することもある。ウイルスが乾燥した空気や寒さを好むことから11月から3月までが流行期と言われるが、5月も過去5年間(13年以降)の有症者数を見ると、70人、45人、35人、72人、64人と集団感染(ロタウイルスなども含む)が起きている。
感染者数が全体で150人以上に達したことについて、保健所の健康推進課は「原因は特定できていないが、冬に発生するというイメージが強いため対処が遅れたことがある」と見ている。これを踏まえ「昨年は6月も集団感染が6件、129人と多かった。今年も注意を続けてほしい」と警戒を呼び掛けている。
ノロウイルスは消毒用エタノールや逆性せっけんでは感染力が落ちない。このためトイレに行った後や調理や食事の前には、手のひらだけでなく、指の間や手首からウイルスをはがし落とすように丁寧に洗うことが必要になる。
また、家庭で子どもや高齢者が嘔吐した場合は「次亜塩素酸ナトリウムが含まれた家庭用漂白剤などを希釈して消毒液をつくり、ペーパータオルなどに浸して拭き取る方法が一番」(同課)。スプレーではウイルスが舞い上がってしまうため、拭き取りによる消毒が効果的としている。(奥野秀康)