編集余録「大雪の歴史」
雪はね続きで体が痛い。十勝は雪が少ない?とんでもない。歴史を見れば豪雪地帯だ
▼27年前の十勝毎日新聞(1991年1月18日付)1面「十勝に記録的大雪 帯広95、上札内90センチ 一日降雪量観測史上2番目」。この日は私も仕事をしていた。道路の除雪は始まらず静まり返った通りで、腰の高さまで埋まった歩道を歩いて帰った
▼史上トップは48年前の70年3月17日。翌18日付の本紙に「記録的大雪 帯広で一メートル十二センチ、帯広測候所開所以来」とある。各所で生き埋め続出、立ち往生した乗用車の中で20代男性の一酸化中毒死事故も起きている
▼大雪の後に心配されるのが雪崩災害だ。61年前の57年3月31日、中札内村上札内の砂防工事現場の事務所と作業員宿舎を大雪崩が襲い、女性や赤ちゃんも含めた18人が亡くなった。4月2日付の本紙に悲劇の現場の様子が詳報されている。読むと涙が出る
▼前日夕から雨が降り、雪崩の心配もあり作業員ら70人は建物で待機していた。午後1時すぎ、急斜面の雪が一気に襲い建物は全壊、生き延びた人たちは素手で雪を掘り救出を続けた
▼防災のため厳冬期から山奥で働き続けた人々。音更町の農家の婿養子となる予定でお見合いも済んでいた男性。夫婦共稼ぎで現場に入り、炊事係の女性は赤ちゃんを抱きしめた姿で。失われた大切な命のことを忘れてはならない。(横田光俊)
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