表土剥ぎ取り外来植物抑制 帯広の森でエゾリスの会実証実験
自然環境の保全・再生などに取り組む市民団体「エゾリスの会」(三日市則昭会長、会員50人)は29日午前、「帯広の森」で在来植物の成長を促す実証実験を始めた。表土を剥ぎ取り外来植物の繁殖を抑制し、森の適正管理に役立てる基礎データを集める。
同会は帯広市の許可を得て、同森の約7ヘクタールを育成・管理。かつて広がっていた在来種のカシワなどを中心とした植生再生に導いている。しかし、現在は生命力の強いオオアワダチソウなどの外来種が増加し、再生を阻んでいる。そこで、特にアワダチソウが密集し、草刈りをしても他の植物が生えにくい場所で実験を企画した。
この日の作業には約10人が参加。アワダチソウが生い茂る表土を横3メートル、縦20メートルの範囲で重機を使って剥ぎ取り、隣接地に裏返して積み重ねた。裏返すことで根を枯らし、日光を遮断して隣接地の表土にあるアワダチソウも除去する。
さらに、地中で休眠状態にある多様な植物の種に日光を当てて発芽を促すため、表土を30センチ、50センチ、1メートルと3段階の深さで掘った。どの深さが効果的か調べるとともに、アワダチソウの抑制に有効な日陰をつくるために適した植樹用の植物を探る。休眠状態の種は、その土地の歴史を反映している。
実験は3年間続け、植生変化を記録する。三日市会長は「維持管理のための評価基準を探り、帯広の森全体の形成に役立てたい」と話す。実験は「富士フイルム・グリーンファンド」助成事業を活用する。(池谷智仁)