ばんえいの再起一冊に 帯広市単独開催10年
フォトギャラリーや対談企画
ばんえい十勝の帯広市単独開催10周年に合わせ、市ばんえい振興室は記念誌「THE BANBA」を制作した。一時は存廃の危機に揺れながら、再起を遂げたばんえいの歩みが1冊に詰まっている。
市内の編集プロダクション「StudioEcrit.」代表で今回編集長を務めた國見亜希子さんらの構想を基に、製本まで1年半の年月を費やした。制作費は、ばんえい競馬振興基金を充てた。
A4判、127ページのフルカラー。ばんえいを撮り続ける写真家山岸伸さん(とかち観光大使)のフォトギャラリーに始まり、約15ページにわたり関係者の対談企画を掲載。同企画では歴代のばんえい振興室長4人が1枚に写る貴重な写真や、存続運動の功労者として、NPO法人とかち馬文化を支える会初代理事長の柏村文郎さんと元ばんえい調騎会会長の服部義幸さんらが対談し、当時の思いや苦悩、未来への期待などを語っている。
また、ばんえいの成り立ちと変遷をたどるコーナーでは、帯広と旭川、北見、岩見沢の4市運営の限界を報じる当時の十勝毎日新聞の記事とともに、有志らが存続を訴える様子を写真付きで載せた。
このほか、厩舎(きゅうしゃ)関係やレースの舞台裏で働く仕事人、十勝と馬の100年の歴史、ばんえいをテーマにした映画やドラマ、漫画、メディアでの紹介歴などと続き、ばんえい70年の歩みを振り返る年表で締めくくっている。
記念誌刊行について、米沢則寿市長は全国の競馬ファンに感謝を示すとともに、過去の不祥事にも触れ、「時には平たんな道ではなく、越え難い大きな障害にぶつかることもある。関係者一同、存続のために全力を尽くしてまいりたい」と寄せている。
1000部印刷し、月内に関係部署や関係団体に配布する予定。一般向けの販売はせず、市図書館か帯広競馬場で閲覧できる。(小縣大輝)