中山勝治さん遺作展 100歳記念展目前で他界
今年10月に99歳で亡くなった中山勝治さんの遺作展が「サロン・ポットおじさん」(帯広市西16条南6、平林孝之代表)で開かれている。中山さんは82歳で絵を描き始め、亡くなる直前まで描き続けた。当初は100歳の記念展を企画、中山さんの他界で取りやめも考えられたが、家族の協力で遺作展として実現した。
中山さんは1914年、石川県七尾市生まれ。35年に兄弟とともに上川管内富良野に入植。41年に応召し、横浜で終戦を迎えた。その後、日本鋼管(現・JFEエンジニアリング)鶴見製鉄所に勤務し、定年まで横浜で過ごした。妻キヨさんの介護を抱えていたため、88年に長男が暮らす帯広に転居した。
キヨさんが96年に亡くなり意気消沈する日々だったが、97年に絵と出合い、水墨画や水彩画を始めた。同年から美術愛好家の公募展「サロン・デ・ボザール」で入選を果たし、平原社展にも95歳まで出品するなど、高齢でも絵を描き続け元気に出歩く姿は帯広の美術関係者にとっても明るさをもたらす存在だった。
今年は100歳の誕生日(10月28日)を前に9月28日、家族で100歳を祝う会を開催。中山さんはその際にも「絵を描くことが生きがい」と話し、12月に「サロン・ポットおじさん」で100歳の記念展を開くことが決まった。
しかし、10月10日、突然の心不全で入院し、同月16日に帰らぬ人となった。中山さんが死の間際まで絵を描き続けていたことを知った同サロンの平林さんが、100歳の記念展を遺作展として開くことを家族に打診し、今回の展示会が実現した。
会場には中山さんが長く題材としていた長野県上高地の河童橋を描いた最後の作品をはじめ、水彩画、水墨画20点が並ぶ。平林さんは「100歳でこれだけの力のある絵を描けるのはすごい。ぜひ多くの人に見に来てほしい」と話している。展示会は1月10日まで。午前10時~午後6時。木曜定休。年末年始は30日~1月4日休業。(大谷健人)