十勝から五輪選手を レスリング新道場開設五十嵐さん
十勝で唯一のレスリングクラブ「帯北クラブ」(団員19人)代表の五十嵐真人さん(36)が10年来の夢を実現させ、帯広市西17南37に道場を開設した。「帯広レスリングクラブ」も新たに設立し、クラブ登録して来年4月からはこの名称で大会出場などの活動を展開する。五十嵐さんは「十勝から五輪選手を育てたい」と張り切っている。
「押されたら横に動いて押し返す」「押して落とす」。真新しい道場に五十嵐さんの声が響く。幼児から中学生までの団員は張り切って体を動かした。
木造2階建て約330平方メートルの建物の2階が道場になっており、12メートル四方のマットや鉄棒、登りロープ、鏡、ブザー、観覧席などを備える。今後、朝から夕方まではフィットネスでの利用も考えている。1階には五十嵐さんが経営するカイロプラクティック「MPTC」や、貸しスタジオ、更衣室などがある。
五十嵐さんは1978年、帯広市生まれ。帯北高時代にレスリングに打ち込み、自衛隊体育学校では全日本チャンピオンを目指して練習に励んだ。全国社会人オープン大会で58キロ級3位と実績も上げた。
16年前に帯広へ戻ってカイロプラクターとして働いた。一方で「十勝から五輪選手を」と帯北高レスリング部のマットを借りて子供たちを教え、10年前からは「自前の道場を持つこと」を構想、10月1日に念願の道場を実現した。
日本のレスリング界は幼い時から英才教育を受ける選手のレベルが高い。「週3、4日の練習で勝てるレベルではない。毎日練習できる環境が必須」と五十嵐さんは感じてきた。クラブの練習は月・水・木曜日の午後6時~同9時と日曜日午後0時半~同5時の週4回だが、道場は午後10時ごろまで開放し、毎日個人練習ができる環境となっている。
新道場で練習に励む伊藤翔哉君(12)=帯広光南小6年=は「設備が新しくなってうれしい。全国優勝できる選手になりたい」と意気込む。2人の子供を預ける音更町内の野口奈美さん(38)は「子供は体力が付いた。仲間とレスリングを通していろいろなことを学んでほしい」と期待する。
五十嵐さんは「選手は自立し、自分で考えて責任を取れる人間になり、社会に出て通用するように」と大切に育てていく考えだ。クラブ入団後は月謝2000円と、毎年4月に年会費3000円が必要。問い合わせは五十嵐さん(090・8633・5731)へ。(菊池宗矩)