癒やしを提供 盲導犬研究に貢献のナナに第二の人生
帯広畜産大学で盲導犬の研究に貢献したラブラドルレトリバーのナナ(雄、10歳)が、福祉施設を訪問して高齢者や障害者らに癒やしを提供する犬として活躍している。研究動物としての一線を退いた後の“第二の人生”で、ナナは生き生きと輝いている。
ナナは8月から、就労継続支援B型事業所ペットショップ「いきものがかり」(帯広市西1南7、北村直也社長)で飼われている。同店はこの夏から犬やウサギ、カメなどを福祉施設に連れて行き、お年寄りらに動物と遊ぶ時間を提供する「小動物ふれあい体験」事業を行っており、ナナもその一員に加わっている。
もともとナナは、同大の鈴木宏志教授の下で盲導犬を効率的に繁殖させるための研究に関わり、人工授精法の新しい技術の開発などに貢献した。高齢になり、精子の性状が良くなくなってきたことから、研究で活躍する場面は少なくなっていた。
鈴木教授の研究室では研究用の犬を子犬のうちから一般家庭でボランティアで飼育してもらい、研究期間終了後に譲渡する制度を取っている。そのことを新聞記事で知った北村社長が鈴木教授に相談したところ、子犬よりも落ち着きがあるナナを薦められた。
ナナは盲導犬のトレーニングを受けたわけではないが、多くの学生の手で飼われてきたため人に慣れている。「初めて会う人を前にしても急な動きをするようなことがない」(北村社長)ため施設訪問にはぴったりだという。鈴木教授は「いろいろな人のホッとする環境づくりに貢献してくれれば」と期待する。
ナナは16日、初めての仕事で市内の児童発達支援センター「帯広あおぞら」(橋本充久仁所長)を訪問した。子供たちの熱烈な歓迎を受けながらも、ほえたりじゃれついたりすることもなく、落ち着いた様子で子供たちと触れ合った。北村社長は「若い犬にはない落ち着き。大型犬ならではのたくましさをいろいろな人に安心して感じてもらえる」と話していた。
同店では障害を持つ利用者がペットの世話をしながら就労に必要な訓練を受けている。小動物ふれあい体験では、利用者が日ごろ世話をしている動物に付き添って施設などに出張する。北村社長は「『支援される側』の利用者にとって、ふれあい体験は『支援する側』を経験できる貴重な場」とし、積極的にPRしている。
対象地域は市内近郊で、料金は約1時間で5000円から。問い合わせは同店(0155・99・1082)へ。(丹羽恭太)
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