自社配合の餌が秘訣 ジーピーファーム生産「卵の自販機」 まちマイ中札内編
道の駅なかさつないなどに設置してある卵の自動販売機。「これを食べたら他の卵は食べられない」というファンも少なくない。生産する村内の養鶏業「ジー・ピー・ファーム」(大谷正廣社長)においしさの秘訣(ひけつ)を聞いた。
同社で飼っている鶏は3種類計約4万羽で、いずれも一般的な品種。こだわっているのは、卵の味を大きく左右する餌の配合だ。
約50種類の栄養素が理想的なバランスになるよう、トウモロコシや大豆かす、魚粉などを自社で配合している。既存の配合飼料よりも割高になるが、大谷社長(66)は「飼料工場の餌だと、円安などで原材料が高騰したときに、飼料価格を抑えるために配合が変わってしまう。おいしい卵のために自分でメニューを決めている」と話す。味の目安の一つが黄身の色で、同社では15段階の色見本のうち10番目に濃い黄色になるよう管理している。
卵は村の特産品の一つで、かつては大小合わせて30軒以上の養鶏農家があったが、現在は2軒だけ。大谷社長は「自分が高校生だったころから卵の価格は変わらないか、むしろ安値安定している」と、養鶏を取り巻く厳しい環境を語る。
20代で米国に研修に行った経験を基に、合理化や品質・衛生管理に有利な「ウインドウレス鶏舎」を国内でもいち早く導入するなど先進的な取り組みを進めてきたが、経営環境の厳しさは変わらない。それでも「札幌や釧路などからも自販機の卵を買いに来てくれて、おいしいと言ってもらえると、まじめにやってきて良かったと思える」と、これからもこだわりの卵を作り続けるつもりだ。
(丹羽恭太)
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