町営住宅のミスマッチ解消へ誓約書 豊頃町
【豊頃】町は数年先の高齢者用住宅の整備を踏まえ、公営住宅の新規入居世帯を対象に、単身世帯となった場合に住宅の明け渡しに応じる誓約の取り付けを始めた。入居者は借地借家法で守られているため、いったん入居すると退去してもらうのが難しい。こうしたことから、「住宅のミスマッチ」を解消するのが狙いとしている。
町内の公営住宅は、国の補助で建設したパートナータウン(茂岩栄町)とドリームタウン(中央新町)の合わせて120戸、町独自で整備したのが教員住宅などを含めて186戸の計306戸。このうち老朽化などで賃貸を中止している住宅を除く290戸を供給している。
公営住宅は、夫婦や子供がいる住宅困窮世帯の入居を原則としている。ただ、入居後は家賃の不払いなどがなければ、子供が独立したり夫婦のどちらかに先立たれて単身になっても入居を続けられる。
町の2008年度調査では、パートナータウン、ドリームタウンの74世帯のうち15世帯が単身世帯だった。これらの世帯は高齢者が多く、家族世帯向けの広い住宅に1人で生活している上、車庫を物置として使うなど、入居者と住居のミスマッチが生じている。
町が独自で整備した住宅には単身向け住宅が30戸があるが、これらは若い世代の独身者の入居を想定した2階建てのため、高齢者には不向きという。
ミスマッチを解消する高齢者用住宅はまだ検討段階だが、町の福祉ゾーン構想で検討されており、今後は整備が進むとみられる。ただ、借地借家法は立場の弱い借り主を保護しているため、住宅を整備しても町が転居などを求めにくい状況にある。
誓約は単身世帯になった場合の転居に理解を求めるのが狙い。誓約書では、町のあっせんなどで(転居先の)住宅が見つかれば住宅を明け渡すよう求めている。誓約はパートナータウン、ドリームタウンの住宅に新規入居する世帯などを対象とし、昨年12月に第1弾としてパートナータウンの新設住宅に入居した4世帯から誓約を取り付けた。
町は「誓約書は法的な拘束力はなく、これをもって転居を迫る考えはない。借り主には公営住宅である自覚を持ってほしい」と話している。(平野明)