QRコードに作業員の医療情報 帯広の企業開発 被災地で注目
建設業の安全システムなどを手掛けるダブルクリック(帯広市、伊藤勝社長)が開発した情報提供システム「QRクイックレスキュー」が、東日本大震災の復興工事の現場などで役立っている。現場作業者のヘルメットや名札に、持病などの医療情報を盛り込んだQRコードシールを張り付け、傷病・事故発生時に迅速に救急隊員に情報を提供することができる。
同システムは北土開発(芽室町)や管外の6社の協力を得て2010年に完成し、12年に国土交通省の新技術情報提供システム「NETIS」に登録された。震災前に開発したシステムだが、全国から作業者が集まる東北の現場で注目され、被災地以外の工事でも安全対策につながる仕組みとして利用が広がっている。
作業者が現場で事故や急病になった場合、救急車を呼んで対応するが、最適な応急措置を取るためには作業者の持病や服用中の薬、アレルギーの有無などを踏まえることが欠かせない。印刷されたQRコードを携帯電話で読み取りアクセスすると、個人の医療情報が分かる。
簡易な止血方法など一般的な対処方法も閲覧できる他、建設現場に設置しているAED(自動体外式除細動器)の場所を知ることもできる。事故発生の一報は工事関係者にメールで送信され、情報共有することが可能だ。個人情報を守る観点から、管理者ら限られた人だけが知るパスワードを入力してアクセスする仕組みもある。
全国各地の現場で採用されており、数百カ所で実績があるという。1現場当たり月1、2万円ほどの費用となるが、大きな現場では200人規模の作業員の出入りがあり、必要時に個人の医療情報を瞬時に得られるのが利点だ。伊藤社長は「適切な処置で人の命を救うことにつながる。今後も安全対策に貢献したい」と話す。
問い合わせは同社(0155・20・1580)へ。(関坂典生)