卒業生へ最後の似顔絵 今春退職 豊頃中の服部校長
【豊頃】今春に定年退職する豊頃中学校の服部和樹校長(60)は、小学校長時代から7年間にわたり、卒業する児童・生徒の似顔絵を描き続けてきた。数にして200枚を超え、今年も卒業生と担任教諭を合わせた27人分の似顔絵を描き終えた。15日の卒業式で、未来に羽ばたく3年生に感謝の思いも込めて手渡す。
服部校長の専門は美術(デザイン)。教員となる前は学校法人国際情報芸術学院(伊達市)の講師としてデザイン、アニメーションの制作指導や、札幌市の企業でデザイナーとしてチラシ作成などを手掛けた。
33歳で教職に就き、特別支援学級を受け持った経験をきっかけに社会教育主事の資格を取得。道立青少年体験活動支援施設(ネイパル)などを渡り歩き、国立日高青少年自然の家の次長も務めた。
2014年4月に池田利別小の校長に着任。「愛情たっぷりに育ててくれた児童の親たちへのプレゼントに」と、卒業生への似顔絵のプレゼントを思い付いた。前任の中札内小でも継続。当時の卒業生の保護者からは「今も自宅に大事に飾っていますよ」と声を掛けられるという。
19年4月から豊頃中の校長に。今回は卒業生26人と担任の池本昌範教諭の似顔絵を描いた。事前に顔写真を撮影し、それを基に昨年10月から下描きを開始、11月から作画作業を本格化させた。放課後の時間だけでは終わらず、土・日曜のいずれかの日も校長室に足を運び、休み返上で作業を進めた。
用紙はこれまで横長が基本だったが、「顔をはっきりと大きく見せたい」と縦使い(19センチ×横12・5センチ)に変更。髪の毛は黒と茶の2色を使い分けるなど色鉛筆で丁寧に色付けし、スキャナーで読み取ってから水彩絵の具で色を重ねるなどした。
「計ってはいないが、1人にかかった時間は3、4時間かな」とし、使った色鉛筆は500本に上る。似顔絵の左下には「To the future」と書き添え、輝かしい未来への願いも込めた。
卒業式当日は会場の体育館入り口に似顔絵を並べるほか、卒業証書を授与する際は200インチのプロジェクタースクリーンに投影し、顔写真が徐々に似顔絵に変化する映像を流す予定。式の終了後、出口に控え、退場する卒業生一人ひとりに似顔絵を渡す。
服部校長は「とてもいい子たちで一緒にいて楽しかった」と振り返り、「落ち着いたら、これまでの似顔絵を集めて展覧会を開催できれば」と笑顔で話している。似顔絵は1人につき2枚ずつを用意。1枚を本人に贈り、もう1枚は16日から、豊頃町える夢館はるにれ通りギャラリーで展示する。(小縣大輝)