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北海道のおいしい地鶏がリニューアル ~「北海地鶏Ⅲ」~

道総研畜産試験場 家畜研究部 中小家畜グループ

1.試験のねらい
 北海地鶏Ⅱは、大型シャモの雄とロードアイランドレッドの雌を交配した母方種鶏と、名古屋種の雄を交配して生産するが、大型シャモは産卵率が低く体重が重いため、これを用いた母方種鶏は産卵率が低く飼料摂取量も多いことが問題となっている。そこで、在来種の中でも産卵率が高い名古屋種の雄とロードアイランドレッドの雌を交配した母方種鶏に、大型シャモの雄を交配した高品質地鶏「北海地鶏Ⅲ」を作出し、母方種鶏の産卵性と肉鶏の発育性の向上を図る(図1)。

2.試験の方法
1)母方種鶏を大型シャモ×ロード(略称:Ⅱ種鶏)から名古屋種 × ロード(略称:Ⅲ種鶏)に変更した場合の種卵生産性を比較する。
2)Ⅲ種鶏への飼料給与量と種類が種卵生産性に及ぼす影響について検討する。
3)平飼い飼育で大型シャモ雄とⅢ種鶏を交配した場合の雄の割合等について検討する。
4)北海地鶏Ⅲと北海地鶏Ⅱについて、発育性と産肉能力を比較する。
5)北海地鶏Ⅲの産肉成績及び肉質を週齢別(雄13~15週齢雌14~17週齢)で比較する。
6)北海地鶏Ⅲを5,000羽生産する種鶏場のモデルを設定し、必要な飼料量を試算する 。

3.成果の概要
1)ヘンディ産卵率はⅡ種鶏では57.8%であるが、Ⅲ種鶏では76.1%と有意に高く(約3割向上)、70%以上産卵週数も32.5週と有意に長い。飼料要求率は、Ⅱ種鶏が4.06、Ⅲ種鶏が3.12とⅢ種鶏が低い(表1)。
2)全期間不断給与で飼育すると産卵率は65.0%と低い。全期間制限給与で飼育すると産卵率は76.1%、育成期は産卵鶏大雛用飼料を不断給与し産卵期は制限給与すると77.7%と高い。
3)1群の雄に対する雌の割合は、15%では36週齢以降に有精卵率が低下するが、20%では70.4~94.1%と良好である。
4)日増体重は、雄雌とも北海地鶏ⅡよりⅢが高く、雄で34.2g/日および39.4g/日、雌で24.0g/日および28.8g/日である。雄が3.2kg、雌が2.6kg に到達する日齢も、雄で94日および85日、雌で109日および98日と、雄で9日、雌で11日短縮される(図2)。飼料要求率は北海地鶏Ⅲが低く、プロダクションスコアも高いが、と殺解体成績および肉質に大きな差は認められない(表2)。
5)週齢別の産肉成績は、と体に対する各部位の重量割合に差はないが、肉質では週齢が進むとL*値(明るさ)が低くなる傾向がみられる。
6)Ⅲ種鶏では母方種鶏を300羽減らすことができ、必要な飼料量も41.0t削減できると試算された。北海地鶏Ⅲでは餌付け羽数が5,000羽の群で、1群あたり4.2t削減できると試算された。

4.留意点
1)北海地鶏Ⅲは、平成32年度から本格生産が開始される予定である。
2)Ⅲ種鶏は全期間制限給与で飼育することを推奨するが、作業効率等から他の給与法も選択肢となる。
3)大型シャモの雄は、配雄割合15%では有精卵率が不安定なので、20%とするとともに、予備の雄鶏を多く準備する必要がある。







詳しい内容については、次にお問い合わせ下さい。
道総研畜産試験場 家畜研究部 中小家畜グループ 國重 享子
電話(0156)64-0612 FAX(0156)64-3212 E-mail:kunishige-kyouko@hro.or.jp

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