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長期貯蔵におけるポテトチップ品質が優れ、線虫に強い加工用ばれいしょ「ゆきふたば(CP08)」

北見農業試験場 研究部 作物育種グループ

1 背景と目的
 ポテトチップ用ばれいしょは使用時期によって品種が使い分けられており、収穫翌年の3月以降に使用される品種は、長期間の貯蔵後でも焦げにくく、ポテトチップ品質が優れる特性が必須である。現在、長期貯蔵に適した品種の一つとして「スノーデン」が3~6月まで使用されているが、ジャガイモシストセンチュウ抵抗性を持っていないことから、安定生産上の大きな問題となっている。そのため、「スノーデン」より高品質で、長期貯蔵に向く抵抗性品種が求められてきた。

2 育成経過
 ばれいしょ「ゆきふたば」は、平成16年にカルビーポテト株式会社が、ジャガイモシストセンチュウ抵抗性を持つ長期貯蔵向けポテトチップ用品種の育成を目標として、「Monticello」を母、「きたひめ」を父として人工交配を行い、選抜された品種である。
 平成26年から「CP08」の番号で、道総研における生産力検定試験および特性検定試験、道内各地の農業改良普及センターにおける現地試験において実用性を検討してきた。

3 特性概要
 「ゆきふたば」は「スノーデン」と比べて、ジャガイモシストセンチュウ抵抗性を持ち、長期貯蔵後のポテトチップ用品質が良い点が優れる。
 早晩性は「スノーデン」より早い中生で、上いも重・規格内いも重はほぼ「スノーデン」並である(表1)。でん粉価は「スノーデン」や「トヨシロ」より高い。塊茎は短卵で、目は浅い(表2)。褐色心腐が「スノーデン」より多いことがあるが「トヨシロ」より発生は少ない。打撲黒変耐性は「スノーデン」並である。長期貯蔵後のポテトチップ加工適性は、「スノーデン」や「きたひめ」よりアグトロン値が優り、ポテトチップカラーが優れる(表2、写真)。病害虫抵抗性は、ジャガイモシストセンチュウ抵抗性をもつ(表4)。疫病による塊茎腐敗抵抗性は“やや強”で「スノーデン」よりやや劣るものの、既存品種では強いレベルである。

4 成果の活用面と留意点
 「ゆきふたば」を「スノーデン」に置き換えて普及することにより、高品質な加工原料の安定供給が可能となる。
 1)普及見込み地帯:北海道の加工用ばれいしょ栽培地帯
 2 )普及見込み面積: 平成35年に500haの見込みで、これ以降徐々に「スノーデン」に置き換えていく計画である。
 3 )栽培上の注意事項: 初期生育がやや遅く、揃いが悪い特性があることから、浴光催芽を丁寧に行い生育促進に努める。

【用語解説】
 アグトロン値: チップの白さの指標で、値が大きいほど焦げ色の少ない明るい色である。グルコースは、焦げの原因となる物質である。
 ジャガイモシストセンチュウ: ばれいしょの根に寄生し大幅な収量低下をもたらす害虫で、薬剤等による防除・根絶は困難である。抵抗性品種の栽培は減収を回避でき、さらに土壌中の線虫密度を低下させる効果がある。







詳しい内容については、次にお問い合わせ下さい。
道総研十勝農業試験場
電話(0155)62-2431 E-mail:tokachi-agri@hro.or.jp

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