足寄で40戸 床上浸水 河川越水 住民避難
台風7号
最大1万7000戸停電
台風7号が上陸した影響で、十勝地方は17日夕から夜にかけて激しい雨が降り、非常に強い風が吹いた。降り始めからの総雨量は上士幌町糠平で197ミリ、最大瞬間風速は豊頃町大津で34メートルに達した。足寄町では足寄川が越水、約40戸が床上浸水し住民100人以上が避難した。最大約1万7000戸と広範囲に停電も発生し、住民生活に影響が出た。18日正午までに、けが人の報告はない。
糠平197ミリ 帯広92ミリ
台風は17日午後5時ごろ、襟裳岬付近に上陸。十勝付近を通過しながら、同日午後9時に温帯低気圧に変わった。道内への台風上陸は2007年以来。
帯広測候所によると、降り始めの16日午前0時から17日午後11時までの総雨量は最も多かった糠平の他、上士幌町三股157・5ミリ、本別151ミリと続いた。足寄は136ミリ、帯広は92・5ミリ。1時間雨量は糠平で47・5ミリ、解析雨量では足寄町中部付近で約70ミリを観測した。
最大風速は大津の24・7メートルが最も強く、大津と更別(16・4メートル)、足寄(14・1メートル)では観測史上1位となった。
台風の被害は広範囲に及んだ。足寄町内の利別川と足寄川などは増水し、氾濫危険水位に達した。本別、足寄、浦幌各町は住民に避難勧告を出した。このうち浦幌町常室地区では1戸が床上浸水し、1世帯3人が避難した。
道路冠水や倒木被害も相次いだ。帯広署によると同署管内の倒木は29件で、強風で建物の窓ガラスが割れたり、飛んできた枝や塀の一部が自動車にぶつかる被害も。とかち広域消防局によると「屋根が飛びそう」「道路が冠水している」など風水害出動は管内で59件あった。
交通機関も乱れた。最大で国道4区間、道道25区間が通行止めとなり、18日午前11時現在も17区間で続いた。道東道も一部区間で影響が出た。空の便は、17日夜の帯広-東京間のエア・ドゥ2便が欠航。JRは18日も運休が相次ぎ、札幌と釧路を結ぶ特急は午前中の6便が運休した。
また、足寄町内の全小・中学校5校と池田高校は18日、臨時休校した。河川敷に近い一部のゴルフ場や運動施設は冠水などの被害で、同日の営業を見合わせた。
倒伏、冠水、搾乳にも被害
台風7号に伴う強風と大雨で、農業関係では農作物の倒伏や畑の冠水、停電により搾乳できないなどの被害が出ている。JAや行政は被害状況の収集に追われている。
スイートコーンの生産量日本一の芽室町では、収穫前の茎が強風で倒れる畑が相次いだ。今年は生育が遅れ、収穫作業も1週間から10日程度ずれ込む中での被害。収穫に時間がかかり、収量の減少が懸念される。同町中伏古の農家は「根元から折れてはいないが収穫作業が大変で収量も落ちるかもしれない。台風が早く過ぎてくれたことが不幸中の幸いと考えるしかない」と話す。他の作物でも水はけの悪い畑が冠水した。
停電が長時間続いた地域では、17日夜と18日朝の搾乳ができなかったり、生乳を冷やせなかったりした。自家発電機を持つ農家は電源を切り替え、設備のない農家は発電機の工面に追われた。JAあしょろは「搾乳も冷却もできない農家があり、乳が搾れない牛は病気にならないか心配。どの程度の被害なのか、まだ全容が見えない」と話した。(安田義教)
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