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藤村 女子3000快勝 ソチ五輪代表選考会

【女子3000メートル】前半のペースを守りきり優勝を果たした藤村祥子

 【長野】スピードスケートのソチ五輪日本代表選手選考会(日本スケート連盟主催)第2日の28日は男女計4種目を行い、女子3000メートルで藤村祥子(宝来中央歯科)が4分9秒55で優勝し、初の五輪出場を確実にした。2大会ぶりの代表を目指す石野枝里子(日本電産サンキョー-白樺学園高出)は3位だった。

 男子500メートルは、既に代表入りを決めている長島圭一郎(日本電産サンキョー-日大、池田高出)が2本合計70秒28で2位。3位には及川佑(大和ハウス工業-山梨学院大、池田高出)が同70秒52で食い込み、五輪出場を確実にした。優勝は加藤条治(日本電産サンキョー)。

 女子500メートルは2位の辻麻希(開西病院)、3位の神谷衣理那(毎日元気-白樺学園高出)の五輪出場が濃厚になった。優勝は五輪出場が内定している小平奈緒(相澤病院)。42歳の岡崎朋美(富士急)は6位で、6大会連続の五輪出場が絶望的となった。

 出場枠1の男子5000メートルはウィリアムソン師円(山形中央高)が制し、22年ぶりの高校生代表が確実となった。十勝勢は阿部大輝(クレアシオン-日大、白樺学園高出)が4位、小川拓朗(白樺学園高)が5位に終わった。(岡部彰広、塩原真)

焦らず平常心 W杯組撃破
 自分のペースを貫き、あとは結果を待つだけだった。残り2組、今季ワールドカップ(W杯)出場の4選手が、軒並み終盤に失速し、勝利が転がり込んできた。「正直、ちょっとびっくり」と驚きながらも、観客席に向かって両手を振り、喜びを表した。

 大学を卒業し、所属先がなかった4年前、元世界選手権日本代表の小竹直喜監督(43)=音更町在住=に指導を仰いだ。ただ、前年のバンクーバー五輪の代表選考会3000メートルでは、首位の穂積雅子(ダイチ)に15秒差の11位と歯が立たなかった実力に「トップと戦えるようになるのか」と当時を振り返る小竹監督。それでも藤村は「やるからには五輪を目指す」と、気持ちはぶれなかった。

 毎年少しずつ実力を伸ばす藤村を、小竹監督もバックアップ。現所属先を紹介し、本業の農業の取引先である、八つ橋で有名なおたべ(京都)の支援も取り付けた。実業団の東京美装時代に同期だった岡本英男さん(新得町出身)が指導する、JR北海道スキー部の合宿にも参加させた。その結果、今年9月のビホロ100キロデュアスロン(ラン20キロ、自転車80キロ)で女子1位となるなど「心肺機能はかなり上がった。これを出せないのは僕の力不足になる」と言わしめた。

 これまで、レースを平常心で臨めないのが欠点だった。「場の雰囲気にのまれ、流されることが多かった」。10月の全日本距離別選手権では首位に3秒差で8位。ただW杯出場を逃しての国内転戦は無駄にならなかった。コーナーで氷に右足の力が伝わらなかった課題を克服。「今までの練習を信じ、メンタル面で成長して臨めた」

 序盤から同走の菊池彩花(富士急)に大きく引き離されたが、焦らず設定したラップタイムを守った。最終周回の33秒22は、出場者中最速を記録した。群雄割拠の長距離界を抜け出したニューヒロイン。「五輪に出られたら最高のレースをしたい」と目を輝かせた。

【女子500メートル】表彰台で笑顔を見せる総合2位の辻麻希

女子500 辻、神谷 初の夢舞台へ
白樺学園高出身先輩後輩コンビ 大一番で勝負強さ

 帯広で練習を共にする辻麻希と神谷衣理那の白樺学園高の先輩後輩コンビが、大事なレースで共に国内自己記録を更新する勝負強さを発揮し、初の五輪出場を射止めた。2人を指導する開西病院・川原正行監督は「相乗効果」と言い切る。

 神谷は前所属会社を退社後の昨シーズン、チームに合流。必死に高校の先輩の辻の後を追い、今季は、辻の持ち味のスタートダッシュを吸収。住吉都(ローソン)を含めた4強の一角に据わった。「(五輪の)実感はまだない。でも結果を残せるいいレースができたら」

【女子500メートル】総合3位で五輪出場のチャンスを作った神谷衣理那

 川原監督が「姉のよう」と表現する辻も、6学年下の後輩をかわいがり、存在を励みにし、責任感も増していった。

 4年前の代表選手選考会では、2本目に転倒。その屈辱からもはい上がった。前回の候補圏外からの挑戦と違い、今回は追われる立場だったが、「逆に落ち着いていた」と、ベテランらしい貫禄のコメント。社会人になって苦節10年。「小さい頃からの目標だった」。悲願をつかんだ表情は晴れやかだった。


4年後はトップを
山根
 ○…初の五輪代表選考会は不完全燃焼だった。高校生最高の10位となった山根佳子(帯柏葉高)は「簡単にタイムを出させてはくれなかった」と、残念がった。

 疲労などを考慮し、直前に開催された道高校大会の1000メートルを回避してまで臨んだ。「ミスが許されないレース。(全日本)距離別より緊張した」

 今回は「まだトップ8にも入れない」と、シニアクラスでは実力不足を認める。しかし、4年後の平昌五輪(韓国)への出場を視野に入れる。「4年後はトップを狙わなくては」と気持ちを切り替えていた。

欲が出る
女子500メートル5位・郷亜里砂(アルムシステム)の話

 順位的にはこれまでで一番良かったが、正直悔しい。4位以上とはタイム差があるが、ここまで来ると欲が出る。

体調不良で17位
石澤

 ○…女子5000メートルですでに五輪出場が内定している石澤志穂(トランシス-駒大苫小牧高、中札内中出)が、体調不良の影響で不振だ。初日の1500メートル11位に続き、2日目の3000メートルは17位に終わった。

 大会前は内定に恥じないレースをと意気込んでいたが、「どこまで自分のレースができるか不安だった」と、揺れた気持ちを吐露した。「このままではまずい。(五輪まで)ベストに持っていければ」と、持ち前の笑顔は見られず、厳しい表情に終始した。

【男子500メートル】総合3位につけた及川佑

長島2位、及川3位 男子500
スタート健在
及川

 ○…32歳の及川佑が、得意とするスタートの100メートルで1本目9秒57、2本目9秒51と最速ラップを刻む貫禄の滑り。後半の伸びこそ欠いたが、内定の2人に次ぐ順位を死守し、3大会連続の五輪をもぎ取った。

 最近のレースは「求めるものとはかけ離れた滑りが多くなっていた」と、緊張より不安感が募る中での今大会。「34秒台が出ずに悔しい。何とかこれまでの経験だけで(3位に)持っていった」

 トリノ五輪は2位につけていながら、最終組の2人に抜かれ4位。バンクーバー五輪は長島、加藤のメダルの影で13位。それだけに、メダルへの3度目の正直に意欲は高まる。毎年、調子が上がる年明けが及川のシーズンイン。「この1カ月、自分に期待したい」と気持ちを切り替えた。

【男子500メートル】総合2位に入った長島圭一郎

「収穫全くない」
長島

 ○…男子500メートルで、五輪代表に内定していた長島圭一郎は、2本とも加藤条治の後塵を拝した。「収穫? 全くない。駄目なところが全部出た」と淡々とレースを振り返った。

 ワールドカップ(W杯)から10日に帰国してから、いつもより長めに休息を取りつつ練習してきた。今大会は調整なしで臨み、今季復調の最初の100メートルは、2本とも9秒6台にとどまった。ただ悲壮感はなく、「W杯が良かったので、ちょっと調子こいていた」といつもの口調で報道陣を笑わせ、最終日の1000メートルをものにしての“2種目五輪”への意欲を見せた。

「後悔はない」
小川

 ○…男子1万メートルで国内最高記録を持つ小川拓朗が、五輪を懸けた5000メートルで5位に終わった。

 強靱(きょうじん)な心肺機能を生かし、終盤にラップタイムを上げるレース展開が持ち味だが、不発だった。「風邪をこじらせていた。2、3日前からよくなってきたのだが」と白樺学園高の和田貴志監督はかばったが、小川は「練習してきての結果。後悔はない」ときっぱり。「五輪(出場)はなくなったが、1万メートルは勝ちます」

アジアに出られれば
5000メートル4位・阿部大輝(クレアシオン-日大、白樺学園高出)の話

 悔いのないレースをしたかった。アジア(予選)に出られれば。

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