十勝の民話伝える「コロポックルの会」が創立30周年 市図書館で記念公演
帯広・十勝の民話を伝えるコロポックルの会(川村厚子会長、会員6人)が今年、創立30周年を迎えた。地域の民話を掘り起こし、紙芝居やDVDを製作するなど地道な活動を続けてきた。帯広市図書館で19日、記念のお話会が開かれ、約60人の来場者が耳を傾けた。
同会は、1993年に市高齢者学級が実施した「ふるさとの民話」の企画事業をきっかけに誕生したボランティアサークル。コロポックルはアイヌの伝承に登場するフキの下に住む神様を意味する。民話や昔語りは、先人の生活や歴史を想像できるだけでなく、生き方や教訓が詰まっていることから、老人クラブや地区のサロンに加え、市図書館や小学校への出前講座などで、子どもたちにも伝えてきた。普段は毎月第1、3金曜に市図書館で朗読の練習を重ねている。
これまで英語版も含め22話について紙芝居やスライドの原画にまとめた。また、11話分のDVDや絵本などを製作し、関係市町村の図書館に寄贈してきた。
当日は、依田勉三率いる晩成社を襲ったイナゴと感染症を題材にした「十勝奇談」や、農耕馬が農村から姿を消してトラクターに代わった時代の帯広市の実話「赤べえ」など5話を披露した。夫婦で来場した市内の南正彦さん(80)は「十勝の開拓が語られていて、非常に勉強になり、郷土を知れた。素晴らしい物語で、感動した」と話した。
創立当初から活動し、物語の調査も行っている杉山正子さん(73)は、「会員が3人になり存続の危機もあったが、公演が終わったときに子どもたちが『感動して泣けてきました』と話してくれたこともある」と振り返った。
同会は記念事業として、活動場所の市図書館に感謝の気持ちを込めて学習机1台も寄贈した。(高井翔太)