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訪問看護ステーション開設へ準備進む 公立芽室病院

訪問看護ステーションに携わる(左から)中山さん、村上さん、三上さん、松本さん

 【芽室】芽室町が7月に予定する、公立芽室病院(研谷智院長)の訪問看護ステーション開設に向けた準備が進んでいる。業務委託などを行わず自治体が訪問看護ステーションを運営するのは管内で同病院のみとみられる。訪問看護を行う看護師らは「必要としている、より多くの人にサービスを届けられる」と張り切っている。

 訪問看護ステーションは、都道府県の指定を受け、看護師や保健師が管理者として運営する事業所。同病院は2019年4月からみなし事業所として訪問看護を開始した。開設当初から事業に関わる同病院の看護師、村上千恵美さん(53)は「最初の利用者は5人で、初年度目標は10人。ゼロからの出発だった」と話す。

 コロナ禍で在宅医療のニーズも高まり20年度は35人(新規31人)、21年度は56人(同40人)と年々利用者が増加。在宅みとりも20年度の3人から、21年度は16人と5倍近くになった。

 20年からは訪問看護の経験を持つ看護師、中山友佳さん(44)、松本陽子さん(42)も加わり、体制を充実。中山さんは同病院が旭川医科大学と連携する「芽室地域包括ケア体制推進事業」の一環で同大学の特任助教を務め、在宅医療の研究などにも携わった。

 一方、みなし事業所の形態では、訪問看護の対象となるのは病院に通院している患者のみ-など、サービスを受けられない町民も多かった。同病院は町民らが住み慣れた地域で最期まで過ごすことを目指す町の取り組み「地域包括ケアシステム」の強化に向け、ステーション開設を決めた。

 ステーション化により、主治医が他の病院でもサービスを受けられるようになる。また「医療分野での24時間対応だけでなく、介護分野でも需要は大きい。ステーション化の強みとして体制を整えたい」(同病院)とする。職員らに関しては、救急医療に備えた自宅待機などに対し、1回2000円を支給する待機手当を設け、負担軽減を図る。

 道保健福祉部によると、道内では同病院を含め、訪問看護を行う市町村立の事業所は13カ所(4月末現在)で、ステーションの形態を取る事業所はさらに少ない。道の担当者は「主治医を選ばないなど、みなし事業所よりも幅広い患者を受け入れられるのがステーションの利点」と話す。

 同病院の訪問看護ステーションは院内の旧産婦人科病棟を活用し設置。メンバーは副総看護師長の三上真紀子さん(53)と村上さん、中山さん、松本さんの4人。同病棟に移り、4人体制で業務を行っている。

 三上さんらは「各病棟や外来、訪問診療と連携できるのは強み。民間事業者との関わりも大切にしながら、地域で安心して過ごせるような環境をつくりたい」と意気込んでいる。(石川彩乃)

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