国立博物館開設やアニメ効果に期待 文化伝承で アイヌシンポ
シンポジウム「アイヌに学ぶ明日へのチカラ」(十勝毎日新聞社主催)が8日、帯広市内のとかちプラザ・アトリウムで開かれ、参加者がアイヌ文化への理解を深め、次代へ伝承していく大切さを考えた。
市民ら約70人が来場。オープニングで帯広カムイトウウポポ保存会(酒井奈々子会長)が「剣の舞」などアイヌ古式舞踊を披露し、同会の荒田裕樹氏、千葉大文学部教授でアイヌ語研究者の中川裕氏、国立アイヌ民族博物館設立準備室調査官の内田祐一氏の3人が登壇して語り合った。中川氏は「ここ2、3年アイヌ文化への関心が高まっている」と指摘し、舞踊を伝承する荒田氏は「自分もアイヌとして生まれた使命感がある。いろいろな人に見てもらい、素晴らしいと思ってもらえれば」と踊りへの思いを語った。2020年に胆振管内白老町に開設される国立アイヌ文化博物館について、内田氏は「国が設置する意義は大きい。ここから始まると思っている」と話した。保存会の中で最も歴史のある同会に対しては、「小さい子からお年寄りまでいて、伝承が伝統的にされている。いろいろな文化伝承がこれから盛んになるといい」と期待を寄せた。アイヌ文化が登場する人気漫画「ゴールデンカムイ」を監修する中川氏は「アイヌの存在に全く興味のなかった人たちが『聖地巡礼』で白老などに来ている。アニメや漫画の普及啓発の効果は絶大だ」と新しい層に理解を広める大切さを語った。(小林祐己)