編集余録「千葉さんと車いす」
2020年東京パラリンピックに向け、ヒマワリのような笑顔の千葉絵里菜さん(22)=帯広出身、NHK障害者キャスター・リポーター=が先月、テレビデビューした
▼脳性まひで手足が不自由、車いすで暮らす。「地域で一緒に学びたい」と栄小、帯一中と普通学級に通い、江陵高校普通科、札幌学院大を卒業した。水泳、乗馬、車いすカーリング、車いすスラローム、電動車いすサッカーに励み、車いすスラロームでは全国3位
▼私は千葉さんが高校時代、車いすカーリングの練習を取材した。キュー(棒)で重い石を滑らせる動作を黙々と練習。最初は3メートル、次第に距離を伸ばし全国大会に出られるまでになった。強い意志と努力の人だ
▼Eテレの番組で千葉さんは、障害者の利用をスポーツ施設から断られることもある現状を指摘し「小さい時からスポーツに慣れることができると、社会に出て成長できる」と訴えた。自分の経験に基づく主張を、ほのぼのとズバリ伝えた
▼テレビ映えする千葉さんの美しい姿勢を黒色の電動車いすが支える。福祉車両・用具のプロショップ「イフ」(帯広)の内藤憲孝さん(49)が1年かけて作り上げた。「千葉さんの行動、生活に合った車いすをミリ単位で仕上げた」と内藤さん
▼十勝で成長した千葉さんが、十勝で作られた車いすで活躍する。テレビを見てうれし涙。(横田光俊)
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