摂食障害改善例発表へ 道立緑ケ丘病院 患者と医師、デイケア語る
昨年退院「手厚いサポート」
【音更】道立緑ケ丘病院(町緑が丘1、東端憲仁院長)が全国的にも珍しい摂食障害向けのデイケアを開始し、患者を支えている。24、25の両日に新潟市で開かれる研究集会で、デイケアに通う篠原麻菜美さん(27)=釧路管内厚岸町=と山本浩貴精神科医長が摂食障害の心理教育について発表する。篠原さんは「病院の手厚いサポートのおかげで症状が改善した」と、自らの経験を語る。
林公人副院長によると、同院では1年間に10人以上が摂食障害で入院している。このため昨年12月から、これまで統合失調症や発達障害などでグループ分けしていたデイケアに「摂食障害」を加えた。国内では浜松医科大医学部付属病院(浜松市)などが専門ケアを行っているが、まだ数は少ないという。
退院後の生活リズムを整え、居場所をつくることを目的とし、現在は3人が通う。佐藤真吾地域支援室作業療法・デイケア科長や看護師らが対応し、毎週火・木曜に仲間づくりや勉強会などに励む。昼食は栄養士による特別食。月1回デイケアに通う篠原さんは「こういう場所があって良かった」と笑顔を見せる。
篠原さんは2012年ごろから、うつ病を引き金に拒食と過食を繰り返し、体重が激しく増減した。15年11月の入院時には身長167センチで体重39・4キロとやせ過ぎて危険な状態に。「太ることへの恐怖心があった」というが、計2回の入院中、山本医長や佐藤安貴管理栄養士らの治療や指導を受けて、昨年11月に退院した。
「栄養士さんのコントロールを信頼していた。回復を焦らず、自分のペースに合わせてくれたのも良かった」と篠原さん。回復途上ながら、体重は51キロ台になった。
研究集会「日本心理教育・家族教室ネットワーク第20回研究集会新潟大会」(同ネットワーク主催)では、摂食障害の本を読んだ同士が内容を話し合った事例を発表する。篠原さんらが実際取り組んだ心理教育で、山本医長は「話すことが苦手でも本を介して経験などを打ち明けやすかったようだ」と話している。
デイケアの問い合わせは同病院(0155・42・3377)へ。(松村智裕)