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心の言葉を書に書きため初個展 双極性障害の坂本さん

色紙を前に、「自分も長く『依存』に苦しんだ。心に響く言葉がきっとあるはず」と話す坂本さん

 そう、うつ状態を繰り返す双極性障害などと診断された帯広市在住の坂本琴さん(37)は、3年ほど前から自分の思いなどを筆文字で色紙に書いてきた。最初は睡眠薬依存などで苦しむ自分に向けてだったが、同じように精神的に苦しむ人など周囲から作品を求められるようになった。「死にたいと思っている人に、言葉で癒やしと元気を贈りたい」。坂本さんはこう話し、書きためた色紙を集めた初の個展「ALIVE」を19日から市内のギャラリー・フローモーション(西5南13)で開く。

 坂本さんは高校まで清水町で育った。20代半ばに帯広の福祉施設の中間管理職だった際、ストレスでうつ状態となり、治療を受け続けた。29歳のときに双極性障害とパニック障害と診断された。支えだった母が病気で死去、さらに父の病気なども重なって症状は悪化し、仕事もできず、向精神薬依存と買い物依存などに苦しんだ。

 坂本さんは「薬で頭がぼうっとした状態で、ネットで買い物を続ける。知らないうちに多額の請求が来るのに、両方ともやめられない。何度も自殺未遂を図った。真っ暗で抜け出せないトンネルの中にいるようだった」と打ち明ける。

 光が見え始めたのは3年ほど前。心配した祖父母の家で暮らすようになったある日、頭がもうろうとした状態で車を運転し、雪山に突っ込んだ。「けがはなかったが、近所は騒然。これ以上、祖父母や周りに迷惑は掛けられない、何とかしようと決意した」

 病院を変え、薬の量を減らした。心が少しずつ安定し、書を使ったセラピーを受講した。「言葉師はる」を名乗り、自分の気持ちをポストカードより一回りほど大きい色紙に書くようになった。「じぶんとそんなにたたかうな」「過去の自分を責めるなよ」。そんな言葉が並ぶ色紙は、これまでで約1000枚にはなったという。昨年9月からは市内の事業所でも働けるようになった。

 個展は30日まで。午前11時~午後8時(最終日は午後4時終了)。1枚でも多くの色紙を並べる予定。坂本さんは「薬の後遺症で手が震えることがあるが、頭に浮かんだことを一気に書いている。期間中はできるだけ会場にいたい。かつての自分のように、苦しんでいる人の光になれば」と話している。(佐藤いづみ)

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  • 作品の一部を前に、「自分も長く『依存』に苦しんだ。心に響く言葉がきっとあるはず」と話す坂本さん

    作品の一部を前に、「自分も長く『依存』に苦しんだ。心に響く言葉がきっとあるはず」と話す坂本さん

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