看護師確保へ保育充実 帯広の医療法人、動き相次ぐ
病院を運営する帯広の医療法人などで、保育環境の拡充を図る動きが相次いでいる。看護師が一定以上夜勤をこなすと院内保育所の保育料を無料化したり、保育施設を改築するなどの取り組みだ。重要な働き手である子育て世代の看護師の確保や離職減、さらには敬遠されがちな夜勤従事者の維持といった狙いもあるようだ。
開西病院などを運営する医療法人社団・博愛会(細川吉博理事長)は今月から、一定程度、夜勤をこなす看護師を対象に、保育料を免除にする取り組みを始めた。現在、6人が利用している。利用者の一人で3歳、1歳の2児の母である佐藤梨紗子さん(33)は以前より夜勤を1回増やして基準を満たし、免除を受けており、「家族の協力も大きいが、家計にも優しい。働き続ける意欲にもつながる」と笑顔で話す。
澁谷真由美看護介護部長は「育児中の看護師が増えると、夜勤者を担ってくれる人がどうしても減る。『72時間以内ルール』(看護師の月平均夜勤時間)を守らなければ、(入院基本料の減額など)病院の減収にもつながる」とする。
協立病院など医療法人社団と社会福祉法人を持つ刀圭会グループ(いずれも長谷川賢理事長)は、昨年4月、運営を「Growth」の常丸香織代表社員に委託する形で、13年ぶりに自前の事業所内保育園を復活させた。
新・子育て支援制度に基づく地域型事業所内保育施設の位置付けで、地域からも受け入れている。4月の利用開始に向けて新たな保育施設を建設し、同時に定員も19人(うち事業所枠は14人)から30人(同23人)に増やす。
刀圭会は、2008年からは病児保育なども手掛ける認可外事業者の常丸さんに場所を貸し、グループの看護師らに保育料を補助する形を取ってきた。長谷川理事長は「現定員では足りず、就職希望者がいても保育園の空きがなく、就職に結び付かないケースもあった。子育てしながら働ける環境をつくり、人の確保や職員の離職減につなげたい」とし、「将来は、十勝でも複数の病院で実施している24時間保育対応を目指す」とする。
24時間対応の院内保育所「なかよし保育所」を持つ帯広第一病院(山並秀章院長)では、昨年4月から看護師の勤務以外の日も保育所を利用できるようにした他、夜勤明けも一定時間までは預けられるよう、利用運用の拡充を図った。事前申請が必要だが、例えば勤務日以外では延べ15回程度の利用があるという。
横尾洋子看護部長は「自分も経験したが、育児と看護師の両立、夜勤をこなしての生活は大変。看護師自身が体をしっかり休め、いい状態で働くことが人の定着や確保にもつながる」と話している。
ハローワーク帯広によると、管内の看護師・保健師(フルタイム)などの11月の月間有効求人数は166人で、同求職者数は82人。「求人数も求職数も、そして就職数も一定数あることから、求職者が病院を選んでいる傾向が見える」としている。(佐藤いづみ)