神谷復帰に意欲、スケート全日本合宿氷上練習スタート
スピードスケートの全日本強化合宿の氷上練習が28日に明治北海道十勝オーバルで始まり、報道陣に公開された。オランダやカナダに遠征中の高木菜那(日本電産サンキョー-帯南商高出)や辻麻希(開西病院)らを除く19人が、今季開幕戦の全日本距離別選手権(10月23~25日・長野県エムウエーブ)に向けて調整する。
十勝関係選手では及川佑(大和ハウス工業-山梨学院大、池田高出)、押切美沙紀(富士急-駒大苫小牧高、中札内中出)、小川拓朗(帯広スケート連盟)ら9選手が初日から参加。高木美帆(日体大-帯南商高出)は30日から加わる。2季ぶりにレースに復帰する神谷衣理那(高堂建設)や、けがからの復活を目指す大和田真(帯広スケート連盟)の表情も明るい。
「秋季研修合宿」と銘打たれた今回は27日から10月8日までの日程で実施する。氷上練習や陸上トレーニングを行い、夕食後は感染症対策や、科学的見地に基づくパシュートの効率的な戦い方などの講習会を実施する。28日午前は短、長距離に分かれてじっくりと氷の感触を確かめていた。(北雅貴)
神谷衣理那、力強く復帰の滑り
女子短距離の神谷衣理那(23)が、力強く復帰の一歩を踏み出す。
2013年のソチ五輪選考会の女子500メートルで3位、1000メートルも4位と代表を確実視されながら落選した。ショックで世界スプリント選手権を欠場した。「スケートのことを考えられなかった。引退しようとも」と失意の日々を振り返る。昨年6月からカナダでのホームステイなど2カ月間ほどは完全にスケートから離れたが、「本当に自分は力を出し切ったのか。まだやれるのではないか」と自問自答。同年冬になると競技続行への意欲が増していった。
昨季はレースには1回も出場しなかったが準備を進め、陸上トレーニングにも汗を流した。今年5月には高堂建設(帯広)に入社し、「安心してスケートに集中できる。本当にありがたい」と感謝する。
7月にナショナルチームに合流し、タイムトライアルでは500メートルで39秒17とまずまず。順調なコンディションに氷上でも笑みがこぼれる。「今季はワールドカップ(W杯)で表彰台に立つのが目標」と力強い。全日本距離別選手権で、2年前の選考会で出した500メートルの自己ベスト38秒37を上回り、W杯の代表権を確実に手に入れるつもりだ。
大和田真「けがなく良い滑りを」
「具体的なタイムや順位(の目標)は今はないが、大きなけがなく良い滑りができれば」。大和田真(24)は慎重に言葉を選んだ。
昨季は本別高時以来というヘルニアを再発させた。大会は開幕戦の全日本距離別選手権の1回のみ。残りのレースはすべてキャンセルした。「ほぼ1シーズンを棒に振ったのは初めて」と焦りもあったが、周囲の助言に耳を傾け、体幹の使い方などを意識して練習を重ねてきた。
「レース感覚が不足している。帯広での合宿中も、1日に1本はレースを想定した滑りを心掛けたい」。北翔大4年の2013年にW杯にも出場した実力者が、静かに牙を研ぐ。