村上さん、女性で十勝初の合格 プロボウラー夫婦誕生
帯広在住の村上好(このみ)さん(32)が今年5月、女性では十勝初となるプロボウラー試験に合格した。同じくプロで好さんを教えてきた夫の拓也さん(42)とともに、道内初のプロボウラー夫婦として注目を浴びている。
「運動音痴の私でも人と競えるスポーツがあったんだ」。好さんが本格的にボウリングを始めたのは、2007年の職場の大会で好成績を収めた時にさかのぼる。すぐに拓也さんが勤務する帯広市内のスガイディノス帯広(白樺16西2)で行われていたボウリング教室に通い始めた。マイボールを購入したもののスコアは70から伸びない時期が続いたが、「ここで諦めたら人生が終わってしまう」と、半年後に一念発起して会社を退職した。
当時、好さんと拓也さんの関係は、顧客とコーチ。好さんは「プロになりたいと言った時、拓也プロに『ふざけるな』と言われた」と笑いながら振り返る。拓也さんは「素質ないし、プロは甘い世界ではない。早く諦めてほしかった」と振り返るように、とにかく厳しく接し、「やめちまえ」と言葉に出すこともあったという。
転機は1年後。いつになっても、プロどころか人並みにも投げられないことを見ていた周りの人から「ずっと練習しているけど大丈夫だろうか」との声が広がった。拓也さんもやっと「俺が悪かった。ちゃんと向き合うよ」と心を入れ替え二人三脚でプロへの道を歩み始めた。
厳しい指導が続いたが、2人の関係も接近。10年には拓也さんが公式戦で入賞したことを機に結婚した。11年にはついに300点のパーフェクトを達成した。
今年4月には2回目となる日本プロボウリング協会(JPBA)の試験に挑戦した。1次から2次の実技試験ではそれぞれ1日12ゲームを4日行い、平均スコア190以上が合格点となる。一時は基準点以下まで落ちてふさぎ込むこともあったが、「どんな結果でも笑顔で」と拓也さんと約束し危機を乗り切った。実技試験の合格が決まった時は拓也さんの目からも涙が流れた。
現在は2人とも同店で勤務し、プロとしてコーチも行っている。好さんは「感謝してもしきれない」と話す一方、拓也さんも「努力の才能は心の底から尊敬している」とお互いを慕う。
好さんはすでに公式戦を3度経験し、プロとしての道を歩んでいる。夫婦で出場できるミックスダブルスは現在、休止中の競技だが、「再開したら出場して優勝したい」と夢を膨らませる。
(塩原真)
◆村上好さんについて
・村上好オフィシャルブログ