知的障害の吉方あゆみさん初出場 全十勝中体連水泳
第33回全十勝中学校水泳大会(全十勝中体連、帯広水泳協会、市教委など主催)が7日、帯広の森市民プール・スインピアで開かれ、知的障害の吉方あゆみさん(帯西陵中2年)が女子選手として史上初めて出場した。吉方さんは、障害の有無にかかわらず同じ環境で競技水泳を進める帯広水泳協会関係者らの協力で練習に励み、中学生アスリート最高の目標となる中体連で奮闘した。大会には3年前に知的障害の男子選手2人が出場しており、関係者は「男女を問わず障害のある生徒でも中体連で活躍できる。吉方さんらに続いてほしい」と願っている。
吉方さんは小学1年生でジョイフィット帯広スイミングスクールに入り、水泳を始めた。競技水泳を目指して十勝ユニバーサル水泳クラブに昨年4月から通い、スインピアで週3回の練習に打ち込んできた。
管内の障害者水泳は、一般の選手と一緒のプールで練習、同じ指導を受けて、大会も一般の大会に障害者スイマーが出場する「十勝方式」が普及している。吉方さんも4月の長水路水泳記録会(スインピア)に出場するなど一般の選手と共に競技経験を積み、今大会に臨んだ。
大会会場では朝から、同じ学年の障害のない水泳仲間と協力して飛び込みスタート練習を重ねた。迎えた本番では50メートル自由形で53秒18と自己ベストを約5秒更新、100メートル同でも2分4秒81と同じく約15秒更新する力泳を見せた。いずれも最下位の組4位だったが、他の選手に大きく引き離されることはなかった。
競技を終えて吉方さんは「スタートはうまくいったけど、前の選手を抜かせなくて悔しい。組の2位にはなりたかった」と向上心を燃やした。スタンドで応援した母・朱美さんは「明るくて積極的な子供。つらい練習を頑張った成果が出た」と褒めた。
全十勝中体連の水泳大会は、2008年に全盲のスイマー小野智華子さん(帯広盲学校出、12年ロンドン・パラリンピック出場)が当時中学2年で障害者選手として初出場。11年には谷藤大地君(当時共栄中3年)、高木洸君(同帯翔陽中同)の2人が知的障害の男子選手として初めて出場した。十勝ユニバーサル水泳クラブで指導する真田正樹・十勝地区障がい者水泳懇話会代表(帯広水泳協会副会長・理事長)は「吉方さんは頑張る生徒。きょうは最高の結果を出せた。(中体連大会に出ることは)いい勉強になる」と語り、さらに障害児スイマーの活躍を後押する。(横田光俊)