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持ち味発揮して自然に涙 辻麻希 ソチ五輪女子500メートル9位

2本目を終え、父母らがいる観客席に向かって手を振る辻麻希(岡部彰広撮影)

 【ロシア・ソチ】ソチ冬季五輪第5日の11日、スピードスケート女子500メートルで9位になった辻麻希(開西病院)はレース後、取材を受けながら自然と涙がこぼれ出た。「何の涙なんだか分かりません。ほっとしたのかな、悔しかったのかな。いろんな人に応援してもらって滑れたことで止まらないのかな」。

 十勝関係選手では、トリノ五輪8位の大菅小百合(白樺学園高出)以来、6人目の同種目1桁順位。レース後は父母らがいる観客席へ朗らかな表情で手を振った。しかし報道陣の前に立つと、8位入賞をわずか0・09秒差で逃したことや、持ち味を十分に発揮できたことへの安堵(あんど)感など、さまざまな思いが複雑に入り交じった。

 国内ではトップ、世界でも上位と肩を並べるスタートダッシュ力、それが武器だ。身につけたのは、バンクーバー五輪後に十六銀行(岐阜)に移籍し、同時に開西病院チームと合同練習するようになってからだ。「男子選手を追いかけて練習することができたからだと思います。それまでの所属先は女子ばかりでしたから」。

 2012年には前所属先を円満に離れて開西病院へと、スケート選手には珍しい3度目のチーム移籍。「生まれ育った帯広から五輪へ行きたい」という念願がかなった。さらに地元実業団の顔、少年少女への見本としての責任感を携えながらこの4年間、小平奈緒(相澤病院)、住吉都(ローソン)と短距離トップ3の座を死守してきた。

 中学、高校と日本一になった逸材ながら、28歳にして「行けそうで行けない夢の舞台」にようやく到達した。緊張感は「落ち着きすぎて怖いぐらい」なかった。

 2本とも最初の100メートルのラップタイムは10秒40。2本目は上から4番目の速さだった。2本目を滑り終えて首位。残る4つの組の選手に次々と抜かれはしたが、「勇気と感動を少しは与えられたかな。(五輪から落選した)神谷(衣理那=毎日元気-白樺学園高出)が、やる気を感じてくれるレースができたかな」。

 残る種目は13日の1000メートル。強豪ぞろいで厳しい戦いを強いられるが、かねてから「最後になってもいいやという気持ちで臨みたい」と話していた通り、500メートル以上の充実した時間にするつもりだ。(岡部彰広)

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    2本目を終え、父母らがいる観客席に向かって手を振る辻を麻希

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