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帯広中心部にメンタルクリニック開院へ 大江病院

4月の開業に向けて改装が進む建物

 大江病院(帯広市西20南2)を運営する医療法人社団博仁会(大江徹理事長)は4月、精神疾患を持つ人の地域生活を支援するクリニックを市内中心部に開設する。診療部門に加え、就労支援を目的としたデイケア部門と重度精神障害者を対象としたACT(包括型地域生活支援プログラム)部門も併設。既存の社会資源と連携し、同法人が目指す「脱施設化」の実現を図る。

 新しいクリニックは西5南12の旧秋川内科医院を改装して開設する。名称は「おおえメンタルクリニックゆう」。精神病患者の自立した生活には、衣医食住に加え、「遊」や「友」が必要との思いから「ゆう」とした。院長には同病院の鎌田裕樹副院長が就く。

 診療部門では認知症以外の精神疾患全般の診療に当たる。近年の精神疾患の増加傾向や高齢化に伴う認知症の増加に対応するため、同クリニックが精神疾患、同病院が主に認知症と分化を図る。診療には主に鎌田院長が当たる。

 デイケア部門では、患者が地域で自立した生活を送ることをゴールに日中のリハビリを行う。状態に応じて、地域の就労支援作業所などにつなげていく。同病院にも精神科デイケアはあるが、「病院のデイケアは自院の患者を抱え込み、保護的になりがちだった」(鎌田院長)との反省から、他の医療機関の患者も主治医を変えることなく利用できるようにする。鎌田院長の他、看護師と作業療法士各2人を配置する。

 ACT部門では、従来は入院が必要な重度精神障害者を対象に24時間体制で訪問診療・看護・リハビリや生活支援サービスを提供する。管内で唯一ACTを実践している道立緑ヶ丘病院(音更)の桶田昌平医師を迎え、他に作業療法士2人、看護師とソーシャルワーカー各1人が担当する。

 ACT部門もデイケア部門と同様、他医療機関も利用できるオープンシステムを取る。オープン性を担保するため、両部門で受け入れる患者の選定は保健所などが参加する第三者機関に委ねる考え。鎌田院長は「現状ではACTの多くが関係者の情熱で成り立っている面があり、それでは継続可能性が小さい。当クリニックでもACT部門は赤字が予想されるが、ACTが広く根付いていくために、取り組んだ結果や課題を情報発信していきたい。情報に客観性を持たせるためにも第三者機関が必要」と説明する。

 鎌田院長は「精神病に対する偏見や精神病院に入院すると出て来られなくなるといった誤解から、精神疾患があっても未治療の潜在的な患者は多い」とし、同クリニックでは精神疾患に関する情報提供や相談事業にも積極的に取り組む考えだ。(丹羽恭太)

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  • 鎌田裕樹院長

    鎌田裕樹院長

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