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畜大生4人狩猟免許試験に合格 猟の経験を

そろって狩猟免許を取得した畜大生。田賀さん、加藤さん(前列左から)、尾針さん、大熊さん(後列左から)

 今年度の狩猟免許試験で、帯広畜産大学の男女の学生4人が合格した。十勝管内ではエゾシカの農業被害が年々増大する一方、狩猟者の高齢化が課題になっており、十勝総合振興局は「学生のまとまった免許取得は珍しい」と歓迎している。野生動物管理の研究者や教員を目指す学生たちは「将来は猟の経験や知識を発信していきたい」と張り切っている。

 畜産学部畜産科学課程4年の田賀千尋さん(25)と加藤由華さん(22)、大学院畜産学研究科修士課程1年の尾針由真さん(23)と大熊勲さん(23)。試験は8日に同局で行われ、田賀さんと加藤さん、大熊さんは第1種銃猟免許に、大熊さんと、既に銃猟免許を持つ尾針さんは、わな猟免許にも合格した。19日に同局で免状を受け取った。

 最初に免許を取った尾針さんは野生動物研究室でシカの寄生虫を研究しており、「シカの生態をもっと知りたい」と昨年7月に銃猟免許に合格。十勝でもエゾシカが増える現状に「捕る人が減っているのは、若い人が狩猟のことを知らないことが大きいのでは」と考え、友人や後輩に免許取得を呼び掛けてきた。

 野生動物のゼミ仲間の大熊さんは、自治体と共同で農林被害対策として動物の移動経路を研究している。「今は多すぎるエゾシカだが、捕獲と保護のバランスが必要。狩猟経験を通じてリアルな視点から考えたい」と免許に挑戦した。

 同じゼミの加藤さんも「人間と動物の共生を考える上で、(狩猟の)知識を得ることは大事」と受験を決めた。小学校教諭を目指し、来春から故郷の愛知の教育大に進むが、「いつか十勝で猟に行ってみたい」と考えている。

 加藤さんに誘われた田賀さんは福井出身で、「もともと野生動物との距離は近かった」という。将来は理科の教員志望で、「免許が取れたので狩猟に行きたい。経験を子供たちに話せたら」と目標を持つ。

 同局環境生活課によると、管内の猟友会員864人(2012年)のうち20代は3・7%(32人)と少ない。同会員の半数以上は60歳以上で、狩猟者の数は減少傾向にある。

 実際に銃猟をするには銃の所持許可が必要。購入や維持に費用がかかるため、若者にはハードルが高いが、同課は「エゾシカが問題になっている十勝でも若い人は関心が薄く、実情を知らないのが現状。まずは関心を持ってくれたことがうれしく、広がりに期待したい。感じたことを、いろいろな人に伝えてほしい」と期待している。
(小林祐己)

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