「カチバス」で初の古里・帯広公演に意欲 俳優小野寺昭さん
十勝バス(帯広市)がモデルのミュージカル「KACHI BUS(カチバス)」に出演する帯広市出身の俳優小野寺昭さん(70)。来年1月5~13日の東京を皮切りに、2月12日は札幌、同14、15両日は帯広市民文化ホールでも上演される。45年余りの俳優人生で古里の舞台に立つのは初めてで、「見てもらえるのは感慨深い」と喜ぶ。本番に向けた心境や見どころ、十勝への思いなどを聞いた。(岩城由彦)
-帯広が舞台の芝居に臨む心境は。
古里で実際に起こったドラマで、帯広市出身の俳優として「俺が出なきゃどうする」と。ミュージカルはエンターテインメントだが、十勝バス「再生」の事実関係を知っている十勝の人たちにも納得してもらえる作品にしたい。
-自身初の帯広公演もありますね。
70歳になっても帯広で芝居ができるのは、役者を続けていられるからこそ。見てもらえるのは感慨深い。意気込みもかなりある。半面、自分の知り合いなどが見に来ると考えると、ちょっとやりにくく照れくさい(笑)。
-十勝への思いは。
中学、高校と十勝バスで通学した記憶も。(俳優になってから)清水町に別荘を持っていたこともあり、夏はゴルフ、冬はスキーを楽しんでいた。吉田美和さん(ドリームズ・カム・トゥルー)や安住紳一郎さん(TBSアナウンサー)など十勝出身者の名前を聞くと、やっぱりうれしい。
-「前社長」という重要な役で出演する作品の見どころは。
古い世代が時代の流れに取り残され、若者の発想で会社が「復活」するストーリー。自分と同世代の人には「若者は捨てたものじゃないぜ」というメッセージを、将来の目標が漠然としている若い人には「頑張れば目標を達成できる」という希望を伝えたい。社会派ドラマを明るいミュージカルとして上演するのは新しく、これが成立すると面白いなと思う。
-十勝のファンにメッセージを。
大事な時期に育った十勝は自分のルーツであり誇り。しょっちゅう帰るということはないが、思いは強い。中央で活躍している役者たちの芝居を生でじっくり見てもらい、将来1人でも2人でも十勝から俳優を目指す人が出てくれるとうれしい。
〈おのでら・あきら〉1943年、帯広市生まれ。帯広小、帯広第一中、帯広三条高を卒業後、俳優を目指して上京。72年、刑事ドラマ「太陽にほえろ」の島公介刑事役(愛称・殿下)に抜てきされ人気を獲得した。映画やドラマ、舞台、CMで幅広く活躍。2007年、大阪芸術大短大広報学科演劇(演技演出)コース教授に就任した。
〈KACHI BUS〉十勝バスの野村文吾社長や同社の歩みをモデルに描くビジネス・ミュージカルで、40年ぶりの増収を果たした会社再生の人間ドラマ。小野寺さんは野村社長の父で前社長の文彦さん(故人)役。野村社長役を演じる「TEAM NACS(チームナックス)」の森崎博之さん(上川管内東川町出身)、同社部長役の近江谷太朗さん(帯広市出身)ら道内・十勝ゆかりのキャストがそろった。企画制作はアトリエ・ダンカン、WAYOUTカンパニー。
帯広公演は、来年2月14日午後7時から、15日午後1時から、それぞれ帯広市民文化ホールで行われる。札幌公演は、同12日午後7時から札幌市民文化ホール。各チケットは、イープラス、チケットぴあ、ローソンチケットで、11月24日発売予定。全席指定5000円。未就学児不可。問い合わせはアトリエ・ダンカン(03・3475・0360)へ。