今年もカラマツのハバチ被害 正しい対応呼び掛け
カラマツの葉を食べる害虫「カラマツハラアカハバチ」の被害が今年も十勝管内の林で発生している。昨年は浦幌を除く管内18市町村に被害が広がり、今年も一部で大きな被害が予測されている。食害を受けた林は枯れたように見えるが、木が枯死することはまれなため、十勝総合振興局は森林所有者らに冷静な対応を呼び掛けている。
カラマツハラアカハバチは、7、8月に成虫が発生して枝先に産卵、8月に幼虫が葉を食べる。葉がなくなったカラマツ林は茶色く枯れたように見えるが、葉は再生する。被害は同じ林で2~4年続くとされる。
十勝管内では2006年度に発生が確認され、昨年度は18市町村で全道の3割強に当たる計1万1872ヘクタールの大きな被害が出た。10年度にはやはりカラマツの葉を食べ、枯れた葉で林が赤く見える「カラマツマダラメイガ」の発生も道内で初めて確認された。
今年も8月上旬にハバチとメイガが発生し、幼虫による食害が確認されている。同局森林室などは「毎年お盆すぎが被害が目立つ時期。今年はやや遅れているが、9月中~下旬には(メイガの被害で)林が真っ赤になる」としている。
繭の数によるハバチ発生の予測調査では、今年は中札内や幕別、池田、豊頃の一部で大きな被害が予測されている。一方で大樹や広尾などでは、被害は終息の方向とみられている。
21日には同局と道造林協会十勝支部が、森林害虫の講習会を幕別町百年記念ホールで開いた。管内の関係者約70人が参加し、道立総合研究機構林業試験場の原秀穂森林資源部長が「被害の拡大と長期化は成熟したカラマツ林の増加が一因。被害の観察と間伐による樹勢の維持など適切な対応が重要」と話した。
同町内での現地研修では、ハバチとメイガの幼虫が発生しているが、一部が病気で死んでいることを確認した。同室は「成長に影響は出ても木自体は枯れない。伐採の必要はないので、安く山を売ったりしないように」としている。(小林祐己)