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保存期間が乳用種牛肉の理化学特性 および官能評価に及ぼす影響

道総研畜産試験場 家畜研究部 肉牛グループ

1.試験のねらい
 乳用種牛肉の特徴を表す指標とそれに関連する理化学特性について、保存期間中に起こる変化および官能評価に及ぼす影響からその有効性を検証し、品質情報を適切に表す指標を開発するための知見を得る。

2.試験の方法
1)乳用種去勢牛6頭の胸最長筋および半膜様筋を、と畜日を0日として最長70日までウエットエイジングにより保存し、その間に起こる理化学特性の変化を測定。
 測定項目:脂肪含量、せん断力価、呈味成分(遊離アミノ酸、核酸関連物質、うま味強度)等
 ※うま味強度=u+1218uv u:グルタミン酸(%) v:イノシン酸(%)

2)保存期間が異なる(と畜後10日 vs.30日、または50日)同一個体の乳用種牛肉を用いて二点法による官能評価を実施。

3.成果の概要
1)-(1)脂肪含量は胸最長筋で7.7~9.4%、半膜様筋で4.1~6.6%の範囲にあり、保存中の変動は見られなかった(図1)。このことから、と畜後の任意の時点で測定した脂肪含量の値は、乳用種牛肉の品質情報を表す指標として利用可能と考えられる。

1)-(2)保存期間の延長に伴いせん断力価は胸最長筋でわずかに低下する傾向が見られ、半膜様筋で有意に低下した(図2)。

1)-(3)保存10日に対して70日のイノシン酸含量は10分の1に有意に減少し、グルタミン酸含量は3.2倍に有意に増加した。イノシン酸含量は保存中の変動が大きく、うま味の強さを表す指標として用いることは困難であると考えられた。一方、グルタミン酸含量およびイノシン酸含量から算出されるうま味強度は、保存中に低下するが、30日までは変動が小さく、50日では0.2程度の減少であった(図3)。

2)-(1)保存30日および50日は、10日よりも有意にやわらかいと評価され、50日は10日よりも有意に食感が好ましいと評価された(図4)。1)-(2)で示した保存期間の延長に伴うせん断力価の変動は、やわらかさ等、食感に関する官能評価に影響を及ぼす可能性を示唆した。しかし、食感の低下には繋がっていないため、と畜後の任意の時点で測定したせん断力価は、食感を表す指標として利用可能と考えられる。

2)-(2)保存10日と30日または50日の間に、うま味の強さに有意差は見られなかった(図4)。このことと1)-(3)の結果から、うま味の強さの指標としてはうま味強度の利用が適するものと考えられる。

4.留意点
1)乳用種牛肉の特徴を店頭表示する際に必要となる規格範囲等を開発する研究に活用する。
2)乳用種牛肉の特徴を活用した加工品を開発する研究に活用する。







詳しい内容については、次にお問い合わせ下さい。
道総研畜産試験場 家畜研究部 肉牛グループ 大井 幹記
電話(0156)64ー0609 FAX(0156)64ー6151
E-mail:ooi-motoki@hro.or.jp

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