極遅まきと品種の使い分けで減らそう!金時の色流れ
道総研 十勝農業試験場 研究部 生産環境・小豆菜豆・地域技術 各グループ
1.成果の概要
最近の気象変動によって、金時の色流れ粒の発生リスクが高まっていますが、このリスクを減らす方法を開
発しました。極遅まきにより、成熟期を9月下旬にずらすことで、色流れ粒率の低下と粒大の増加が期待でき
ます。
2.成果内容
(1)成熟期前10日間の降水量が多いと、金時の色流れ粒率が高まります(図1)。一方、金時の成熟期に30mm 以上の雨が降る確率は、最近10年で9月下旬が最も少なくなっています。
(2)「大正金時」を極遅まき(6月下旬播種)すると成熟期が9月下旬となり、百粒重・子実重が増加し、色流れ粒は減少する傾向です(表1)。
(3)「福勝」や「かちどき」を「大正金時」と同日に播種すると、3~14日程度成熟期が遅くなり、リスク分散に有効です。しかし、極遅まきでは、両品種は成熟期に達しない恐れもあります。
(4)開花期に窒素を追肥すると、百粒重・子実重は高まりますが、倒伏が増加します(表1)。そのため、初期生育の旺盛な極遅まきでは、追肥は控えてください。
(5)金時の生育期間(播種期~成熟期)の日平均気温が高くなると、生育日数は短くなります(図2)。目標の成熟期を設定すれば、この関係を利用して播種期を推定できます(表2)。
(6)成熟期を9月下旬にずらすことには、表3のメリットとデメリットがあります。
3.留意点
(1)本成績は、金時の色流れ粒の発生回避等のために、生産者が播種期、栽培品種、窒素追肥の有無等を決めていただく際の参考にしてください。
(成績名:気象変動に伴う金時の色流れ粒発生リスク回避に向けた播種期設定および成熟期分散)
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