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黒根病と褐斑病に強いてん菜「北海104号」

農研機構 北海道農業研究センター 畑作物開発利用研究領域 テンサイ育種グループ

1.背景
 北海道のてん菜栽培では、近年、黒根病や褐斑病の多発に起因する収量低下が問題となっている。そのため、畑輪作体系の維持や製糖関連産業等の地域経済にも大きな影響を及ぼしている。今後の気候変動に関する将来予測では、黒根病や褐斑病の初発が早まり、発生量も増えることが予想されている(北海道立総合研究機構農業試験場資料第39号、2011年)。また、最近では薬剤抵抗性の褐斑病菌の割合が増加しており、今まで以上に強い病害抵抗性品種が求められている。
 北海道のてん菜優良品種では、「北海みつぼし」が黒根病に、「リボルタ」が褐斑病に最も強い抵抗性を示すが、抽苔耐性がやや弱いため、当年抽苔の発生に注意が必要である。
 そこで、てん菜の主要病害である黒根病、褐斑病ならびにそう根病に強く、抽苔耐性にも強い品種を開発する。

2.育成経過
 「北海104号」は、北海道農業研究センターが育成した黒根病および褐斑病抵抗性の単胚二倍体雄性不稔種子親系統「JMS72」を活用し、海外種子会社との国際共同研究により育成した一代雑種である。2014年以降、道内各地の試験地で生産力、特性、地域適応性を明らかにした。

3.特性の概要
1 )黒根病抵抗性は、「リボルタ」の“やや強”よりも強く、「北海みつぼし」並の“強”である。褐斑病抵抗性は、「北海みつぼし」の“強”よりも強く、「リボルタ」並の“かなり強”である。抽苔耐性は、「北海みつぼし」および「リボルタ」の“やや強”よりも強い“強”である。そう根病抵抗性は「北海みつぼし」および「リボルタ」並の“強”である。
2 )一般圃場での生産力検定では、根重は「北海みつぼし」および「リボルタ」より少ない。根中糖分は「北海みつぼし」よりやや高く、「リボルタ」並である。糖量は「北海みつぼし」および「リボルタ」よりやや少ない。
3 )過去の生産履歴から排水不良が確認された農家圃場では、黒根病の発生が「リボルタ」よりも少なく、糖量は「リボルタ」よりもやや多い。

4.普及態度
 黒根病が発生しやすく、褐斑病の適期防除が困難になりやすい排水不良の圃場を中心に作付けすることで、被害軽減が期待できる。また、春先が低温になるオホーツク沿海地域等でも、通常の育苗管理が可能である。
1)普及見込み地帯:北海道内一円
2)普及見込み面積:500ha(平成32年以降)
3)栽培上の注意:根腐病抵抗性が“やや弱”であるため、適切な防除に努める。



詳しい内容については、次にお問い合わせ下さい。
農研機構北海道農業研究センター 企画部産学連携質
電話(011)857-9212  E-mail:cryoforum@ml.affrc.go.jp

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