災害時の情報収集へ 大樹 神戸大が飛行船実験
【大樹】神戸大工学部機械工学科の深尾隆則助教授や学生による飛行船(全長12メートル)の実験が町多目的航空公園で行われている。同飛行船はカメラなどを搭載し、上空から災害時の情報収集をすることが目的。屋外での飛行実験は今回が初めてで、9月5日まで滞在する予定。(松村智裕)
神戸大は阪神・淡路大震災(1995年)以降、災害時の救助活動を支援する機器の開発が盛ん。無人飛行船に全地球測位システム(GPS)や風速センサー、慣性航行ユニットなどを搭載し、災害地など決められたルートの自律飛行を目指す。
深尾助教授と学生4人は7日に来町。2004年度まで同公園で全長68メートルの飛行船による実験を繰り返していた独立行政法人・宇宙航空研究開発機構(JAXA、東京)の関係者が実験に協力し、JAXAの飛行船格納庫も活用している。
8日は飛行船にヘリウムを入れ、手動操縦による初の屋外飛行を実施。約20メートル上昇させ、飛行特性を確認した。当面は手動による飛行実験を行い、21日以降に自律飛行の実験へ移行する予定。
この飛行船は上空30メートルを1時間ほど飛ばすことが可能。飛行船は飛行機やヘリコプターに比べ、低空飛行できる利点もある。深尾助教授は「風が強くても経路を乱さず飛ばすことが課題」とし、「予算面で折り合いがつけば4、5年後の実用化を目指したい」と話している。