６次産業化にむけて
2013年の十勝農業は、天候不順で耕種は減りましたが、「畜産」特に肉用牛が好調で、過去最高を記録した昨年をさらに１％上回る総2658億円となり、十勝農業の底堅さを示した年でもありました。ただ実際には輸入飼料や燃料が高騰しているため農家の実収入増には結び付いてはおらず、またＴＰＰという国際化の大きな波の動向もあり先行きがまだ不透明な状況です。こうした中、十勝の農業は地域をけん引する基幹産業としての役割だけでなく、圧倒的な生産量で日本の食料自給率を下支えしています。これもひとえに生産農家個々の経営努力はもとより、試験研究機関の地道な研究と農業団体や関連企業、政治、行政などの取り組みが実を結んだものであり、深く敬意を表します。
しかしながら、農業を取り巻く環境は、国際化の進展を受けて厳しくなっており、今こそさらなる自助努力が必要になってきています。
十勝毎日新聞は、数年前よりＴＰＰ関連についても特集記事を組み、分析し、提言してまいりました。また、農業を第１次産業という側面だけではなく、第２次・３次産業と連携した６次産業化への取り組みについて多角的に取材を行い、広く深く情報を提供してまいりました。
「十勝農業フォーラム」では毎年、「農業新技術・農業記事ハイライト」を発行し、十勝管内の全農家をはじめ、農業機関、団体などに無料で配布しております。
今年の冊子でも道内試験場で研究開発された最新技術を分かりやすく解説しているほか、この１年間に十勝毎日新聞に掲載された農業関連記事などを紹介しています。紙面座談会では「６次化で地域活性化を」と題して、有識者の方にその課題と展望について語っていただいております。
大きな国際化の波に立ち向かおうとしている十勝農業の生産現場で、有効な営農指導書としてご活用いただければ幸いです。
本冊子の編集に当たり、資料提供などでご協力いただきました各試験研究機関の皆様に心からお礼を申し上げ、発刊のあいさつとします。
十勝農業フォーラム
代表 林 光繁
